!現ぱろ
!輪廻転生












「ひさしぶり。」

そういって銀髪の男がひらりと右手の内を見せたので、もうすこしでこちらも「ひさしぶり」と返してしまうところだった。

「ひさしぶりも何も、俺とそちらは初めて会ったと思うが...」

俺がそういえばそいつは一瞬固まった。でもそれは一瞬。すぐに笑いそして言った。

「ひさしぶり。」

聞こえてなかったのだろうか?と考えがよぎるが、いやいやさっき表情が崩れたので聞こえてはいただろうに。つまり俺の先ほどの言葉は無視されたのかと気がつく。

「はじめまして。俺は白髪で片目の男は今までの記憶にない。」

「いやいやひさしぶり。つかこれ白髪じゃなくて銀髪だから」

男は手を横にぶんぶんと振りながらそう笑って答えた。

俺は腹がたった。何故だかあまりわからない。しかし大いに腹がたったのだ。
この顔を見ると、嗚呼なんか腹ただしい。
懐かしい。


「...とりあえず、急に人の腕をちぎれんばかりの力で引っ張り、挙げ句の果てに知らんくせにひさしぶりと言って俺を困らせるなんて、失礼だとは思わないのか」

「俺は散々俺の事を忘れるなって忠告したのに忘れる方が失礼だと思います」


だから知らないと言ってるだろう!と俺が叫べばそりゃないぜ!とその男は叫んだ。

「絶対に会った事はない。そのような派手な格好したやつ目にしたら忘れるはずがない。」

「でもアンタ、俺の事忘れたじゃねぇか」

「だから初めて会ったと言っただろう!とゆうかなんではじめましての人にアンタ呼ばわりされなければならないんだ!」
俺がそういえば、その男はため息を深く深くついた。
よけい腹立たしく思う。殴ろうとしたが、初対面なのだと思い出し、その考えはどこかに捨てる事にした。


「俺は、アンタの事知っている。まぁ、昔のアンタだけどな、毛利元就」


驚いた反面、気持ち悪かった。
俺はあまり思った事を顔には出さないのだが、その時ばかりはとても嫌な顔をしたと思う。


「まさか、俺のストーカーだとか言わないだろうな」

「冗談よしてくれよー」


それはこちらの台詞だと思う。どうして俺の名を一発でわかるのだ。会ったのはこれがはじめての筈なのに。


「えっとなそれからアンタ太陽好きだったよな。それから甘いモンもさ。今でも好きなのか?」


そこまで当てられれば、もしかしたらこちらが忘れているのではとさえ思うようになった。
いやいや。
たしかに俺はこの男を知らないのだ。


「....俺は、知らないぞ」

「まじかよまだ思い出せねぇのか」

「いつ会った?」

「出会いは相当昔すぎて覚えてねぇけど...最後に会ったのは覚えてる..けど、」

「けど何だ?」

「.....これ言ったら余計アンタに変なやつだと思われる」

なんだ自覚していたのか。
俺は眉をひそめてはその男をじっと見つめた。
男は堪忍したように、ぼそりとこう言った。



「俺が、死んだ時..かな」



ばかばかしい!と俺は止めていた足を動き出してスタスタと速めながら歩いた。
ちょっと待ってくれよ!とそいつは最初してきたように俺の腕をグイッと引っ張ってきた。

「待ってくれ、おちつけよ元就」

「うるさい!ばかじゃないか?俺はそういう冗談は大嫌いなんだ。死んだ?生きてるじゃないか貴様は!」

初対面に貴様呼ばわりしてしまったがどうでもよかった。
何故こう俺が怒り乱れるのかは自身でも上手くわからなかった。


「わりぃ..」

「なにが...っ」

「置いていっちまって、わりぃ」


何の話だ!と俺は叫ぶ。
嗚呼。熱い熱い熱い。
今は夏か?いいや夏は終わった。
なのにどうしてこうも熱い。
目が、熱い。
熱い。


「ひさしぶり。」

見知らぬ男はまた言った。

「ひさしぶり。」

「うるさい」

「ひさしぶり。」

「どうして泣く」

「お互い様だろうが」

「俺は泣いてはいない。」

「そうかい。」


男はグイッと俺を引っ張って、抱きしめた。男に抱きしめられたので、鳥肌がたったし、凄く気持ち悪かった。
だけれど。
この海の匂いは懐かしい、と思った。







思わず呟いたのは、ひさしぶり。







「あれ?チカちゃん、毛利の旦那も連れてくるんなら言ってよねー。つか毛利の旦那ひさしぶり〜。」
抱きしめていた男の知り合いだと思われる、橙色の目立つ髪をした青年にそう言われた時は本気で、記憶喪失になったのだろうかと自身を疑うはめになった。

とりあえず明日、友人の真田に相談しようと堅く決意したのはいうまでもない。













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喧嘩させたかったのに撃沈。
最後は友情出演な佐助と名前だけ幸村。

記憶ある組→元親と佐助
記憶ない組→元就と幸村


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