!輪廻転生で現パロ















真田幸村は苛ついていた。
そのせいで走る足音が煩いのは勘違いではないだろう。それはもうすごく煩かった。
「嗚呼これは絶対間に合わないぞ!」

幸村は高校生になったばかりだった。
少し遠く、電車で通わなければいけない場所に高校がある。
遠くではあるが、昔から通いたい学校であったために迷うことなくその学校に進学を望み、受験し、受かった。
当の本人は大いに喜んだ。飛び跳ねて喜んだりもした。
いやしかし、今の幸村にはその時の喜びがひとかけらも感じられなかった。
寝坊により高校に通い始めて一週間もたたない内に遅刻が決定してしまった。


幸村は走るのを諦める事にした。
肩を落とし、とぼとぼと小さく歩く。
とりあえず、急いで出てきたために服装や身だしなみがきちんとされていなかった事に気がついた。

慌ててネクタイを絞めようとするが荷物を持ちながら、しかも歩きながらだと上手く結べない。幸村はため息を吐く。
ネクタイを諦め、今度は結ってない髪を整えるため手首に留めていた赤いゴムを口で外した。
しかし、幸村は手先が器用ではないために、鏡がない今は上手く結べなかった。幸村は大きな舌打ちをした。
そこで幸村はお腹が空いている事に気がついた。朝ご飯を食べてなかったからだ。何か買おうか、一瞬思ったがめんどくさくてすぐその考えは取り消した。


彼の苛つきは頂点に達した。
そして幸村はそれをまだ見ぬ相手へとぶつける。
(ああ全く!あいつは今どこで何をしている?なぜ居ない?まさか約束を忘れたか?いやいやちゃんとあいつは死ぬまえに返事を返した。はやく会いに来い!馬鹿者!阿呆忍!チャラチャラ男!)
きっとアイツは今チャラチャラ男だ!とかなんとか根拠のない事を吐きながら幸村は頭をかいた。余計に髪が乱れた。

「あああ!全く来世までついてこいと言っただろ!!佐助ぇ!!」

道角を曲がった瞬間叫ぶと、丁度反対側から来た人とぶつかりそうになった。
幸村はその事にびっくりし、思わず顔を上げればさらにびっくりし固まった。
相手もびっくりし固まっていた。
それもそうだろう。道角を曲がった時に反対側から高校生が罵倒を一人で叫びながら曲がってくるのだから。
―それも、前世の主で、罵倒の言葉に自分の名前が入っていたら尚更だ。

(なんと...ベタな再会だ...)
幸村は目を見開きながら佐助を見つめていた。

「真田の..旦那.......?」
幸村は唖然とした。名を呼べば、すんなりと目の前に現れた、その男をまばたきしながら見つめた。
嗚呼、何年ぶりだろうか。400近く会ってなかったな。馬鹿め遅すぎだわ。減給決定。休みなし。そうだとりあえず一発殴ってその後蹴りを入れよう。そうしよう。
幸村が光の高速で恐ろしい事を頭の中で考えている事もつゆしらず、その被害者となりそうな佐助はというと、目に涙一杯溜めながら「旦那、」とか「嗚呼やっと会えた」とか小さく、安心したように呟きながら近づいてきた。
そんな佐助に幸村は迷うことなく彼の頬に鉄拳をお見舞いした。
かなりの距離まで吹っ飛ばされた佐助は尻餅をつきながらわけがわからないという風に呆然と幸村を見ていた。
幸村はそれを見下ろしながら
怒りを丁寧に込めて佐助に言ってやった。

「何百年待ったと思ってんだ阿呆!!馬鹿!!駄目忍!!」

ずっと待っていた。
嗚呼だってお前がいないと何もできないもの!
例えばそう、
あの時みたいに共に笑うとかな!



お前がいないと俺は駄目だから永遠に一緒にいればいいさ!


「....え.何それプロポーズ?え!やだ旦那恥ずかしい!」

佐助の言葉に幸村は即座に先ほど考えていた蹴りを繰り出した。


「とりあえずは髪を結え」
「はい了〜解!」

髪なんて永遠に結いますよ。
佐助はそう言って笑った。















(結婚式はいつなのさ〜旦那様〜)
(馬鹿め一人であげていろ)
(旦那もはやく花嫁修行しなくちゃね〜)
(俺が嫁なのかぁぁぁぁ!!??)


















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BL...ではない!(多分)
なんかほもくさくてさーせん(^^)
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