全てを背負う青年は、狂戦士に問う










この世界は悲しい、と青年は幼い頃からそう感じていた。気づけばこの世界は戦いというもので汚染されていて、誰かが泣き叫ぼうが訴えかけていようが、その汚れは止まることなく全てを染め尽くして、

(だから、絶対的な希望が、必要なんだ)

青年は考えた。平和とは、命とは、救いとは。正義とは?
過去に正義と唱え戦を起こす者がいた。
過去に救いを求め訴え続けそれでも言葉が届くことがなかった者がいた。

そして世界は一ミリともかわらず争いを、続けたままである。

(皆が、絆を得るためには進むべき道はひとつ、)


青年はそこへ向かう。こすれる機械音。光鋭いその瞳。
青年はその、魔法陣の上で片膝をつく大柄、それも人間なのかわからないほどの大きさの、そんな男に、怖がる事なく両手を差し伸べる。


(その道に進むためには、仮初めの英雄が、‥本当の悪役が、必要なんだ)

青年は少しだけ自重気味に苦笑った。


その道の先、そこに皆がつながり絆が出来上がるのならば、もう血も涙も流さなくてもよくなるのならば。

自分は、喜んでこの身をこの戦いに捧げよう。この背に、罪を抱えられたとしても。



「すまないな、お前もまた悪役にしてしまう。‥それでも、ワシのサーヴァントでいてくれるか、バーサーカー」


青年の問いに。
まるでその問いを何百年も待ち続けていたかのように、巨大な男、――狂戦士は頭を下げた。


「ならば、これからはよろしく共に歩こう!バーサーカー!」

これからの戦争に恐れを産み出さないよう、青年は狂戦士に微笑む事で己の感じる怖さをごまかした。










――――――――――
徳川家康、バーサーカークラス召還。
のこりあと5組。

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