穴あき幽霊さんシリーズの設定で素敵なお話書いていただきました‥!ありがとうです!!
「あ。雨だ。」
どんより曇っていたと思っていたらついに雨が降ってきた。
FFは雨が大好きだから嫌がったけれど、あたしとエルメェスは今日は帰ろうかという話になった。
「もしもし、親父?…うん神社。わかった、待ってる。」
近くの公衆電話で父を呼んだ。
エルメェスは迎えに来たお姉さんの車で帰宅し、同じ方向だからとFFも車に乗せてもらうことになった。
「徐倫ちゃんも乗っていきなさい。お家まで乗せてあげるわ。」
「いいの。親父が来るから待ってる。」
「日が暮れたら真っ暗になっちゃうのよ?」
「平気。待ってるの慣れてるから。」
エルメェスの家の電話番号が書かれた紙を握りしめてあたしは神社で待っていた。
心配そうなエルメェスのお姉さんの顔がママに似ていたから思わず泣きそうになり唇をかみしめる。
父は仕事が忙しく、あたしは家で留守番をしてることがざらにあった。
だから待ちぼうけは平気なはずなのにその日ばかりは寂しい以外の何ものでもなかったのを今でも覚えている。
いよいよ涙がこぼれようとしたその時、ふいに右手が包まれたように暖かくなった。
手を握られているようなふわふわしたその感覚で涙はひっこんでしまった。
右手を見ても何もいない。
だけどそのぬくもりはあたしを安心させるには充分だった。
さらさらと雨が降る音を聞きつつぼんやりした感覚を頼りに右手を握るものを離すまいと必死になっているうちに、見慣れた青緑の傘を差した父がこちらに向かって歩いてきた。
手にはダサいかっこ悪い青がいいと散々罵られ一度も出番がなかったピンクの傘を持って。
「徐倫。」
「親父、遅いよ。」
「すまなかったな、寂しかったろう。」
「ううん1人じゃあなかったから寂しくなかった。」
そう言って見えない誰かを見上げると、相づちをうつようにそこの景色だけが一瞬ゆらいだ。
「友達といたのか?」
「友達じゃないけど、手があったかい人。」
「なんだそれ、変質者か?変質者なのか?」
「へんしつしゃって?」
「知らなくていい。…今日は徐倫が好きなものを食べよう。」
「じゃあチョコケーキ!」
「…胃がもたれそうだ。いや、なんでもない。危ないから手を繋いで帰ろう。」
あたしの右手をとろうとした父の手を振り払って、左手を繋がせた。
「だめ、親父はこっち。」
「?」
またしてもピンクの傘の活躍の場はなかった。
父と相合い傘をして、だけど右腕は濡らして家に帰ったから。
ママではないことはなんとなくわかっていた。
あの手は。
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「トムが殴った」のしゅうさんにオラ親子+穴あき幽霊シリーズ書いてもらいましたそして素敵な絵まで貰ってしまったぜ‥(^///^)うはぁぁぁぁ!素敵すぐる‥なにより、寂しがっている徐倫のためにいつも自分が憑いている相手をほったらかしにしてまで徐倫の手をつなぎにきた幽霊さんを考えると‥ううっ‥わたしも割り込んで手繋ぎたいです。繋ぎたいです。
しゅうさんありがとうございました!(^///^)