おはなし 8/15 00:35


!ギャグ→シリアス→甘の急展開
!このCP‥スキなんだ‥
いろいろ暗チ過去捏造注意















「てめえ!メローネ!またてめえだろ!」

プロシュートの声にメローネが笑顔を輝かせながら逃げているのを、俺はソファーに深く座り込みながら横目で見つめる。
しかし目を合わせれば、確実に巻き込まれるので、すぐに視線をテレビの方へ移した。
テーブルに置かれているカップの中のコーヒーをチラリと見る。メローネが俺へと淹れてくれたコーヒーだ。一口飲めば、まだ熱かった。猫舌な俺にはまだまだ早かったらしい。舌を出しながら俺はカップをテーブルに再度置いた。ヒリヒリと舌が泣く。

「ギアッチョ、誘ってるのか?」

コーヒーを淹れてくれた馬鹿が舌を出す俺へニヤニヤしながら聞いてくる。無視しようか、と一瞬考えたが、鬼がちらりと視界によぎったので、慌てて言葉を吐き出す。

「おまっ、こっち来んなよ!俺まで巻き込むな!プロシュートにツノ生えてんぞ!なにしたんだよ!」
「ちょっとペッシの野郎の成長を手伝ってあげただけだぜ?」
「ほぉ‥?エロ本を大量にデスクの中に入れてあげるのが‥成長の手伝いってわけかメローネさんよぉ‥」

いつの間にか背後へとまわっていたプロシュートが目をギラギラ(まるで獲物をみつけた獣のような目)させながら唸るような声で言った。その声に、まずいことになったと俺は小さく舌を打った。メローネを盗み見ればまだニヤニヤと笑っていた。きもい。

「いいじゃんかよ!成長期には必要だぜ!ペッシも大人になったほうがいい!」
「よぉし‥準備しろ‥あの世へ逝く準備をだ‥」
「うわっ怖!ギアッチョ助けて!」
「だから巻き込むなっつったろうが!死ね!クソッ」

俺がマグカップを持って逃げれば、メローネはそれについてくる。うぜえ!と叫びながら、走って逃げれば走って追いかけてきた。そのまた後ろには追いかけてくるプロシュートが見える。残像か、グレフルが見える。やべぇ過労死する。

「てめっ!ついてくんな!クソッ」
「本当だぜ‥ついてこないでくれよプロシュート!」
「おめえに言ってんだよ変態!クソックソッ!」
「メローネぶっ殺す!」
「アハハハ心で思ったなら行動しないとプロシュートー!」
「おめっ煽んな!」

そんな逃亡劇に終わりを告げるようにドアが開かれる音が聞こえた。リーダーだ。この戦場と化した部屋を一瞥し、眉をピクリともひそめずにこう言った。

「やめんかプロシュート」

リーダーの言葉はプロシュートだって聞く。止まった俺たちの行動に、リーダーは当たり前のように頷いた。なんて頼もしいんだリーダー‥。俺はリーダーを尊敬の目で見つめながら、テーブルにマグカップを置く。
プロシュートは舌打ちをして、止まったままであるメローネの頭に一発拳を入れて茶番を終わらせた。
いてぇ、と呟くメローネに、俺は自業自得だと笑った。
すると、メローネはにぃと笑って俺へ飛びつかんばかりか抱きついてきた。その拍子に俺は倒れ、床に頭を打つ。

「痛でっ!‥なにすんだおまっ」
「俺、お前の笑う顔スキだぜ」

にぃと笑い続けながら、腕に力を込めて抱きついてるメローネに、俺は鳩尾をキチンと狙って拳を入れた。
うぐっ、と一瞬呻き声を上げたメローネだったが、まだ離してはくれなかった。

「うぜぇ離れろ」
「いやだよ」
「離れろ」
「やだ」

離そうとしても、離れないメローネに腹が立ち、助けを求めようとリーダーに視線を贈る。
リーダーは自分のマグカップにコーヒーを入れながら、こちらをチラリと見つめた。

「仲、いいなお前ら」
「だろぉ?」

リーダー!俺の心の雄叫びがどうやらリーダーには聞こえなかったらしい。俺は泣きそうになった。

「俺、ギアッチョ大好きだぜ、だから離してやらないんだ!だからアンタも素直になって俺を抱きしめ返しなよ」
「きめぇ!離れろ!クズ!」

それでもやはり離してくれないメローネに、俺は諦め、無視する事に決め込んだ。
そういえば、コーヒーを忘れてた、とコーヒーを見つめる。
手を伸ばし、マグカップを手に馴染ませ口づける。ぬるくなったコーヒーは、ちょうどよく甘かった。飲みやすくて、俺の好みを知っている、メローネしか作れない味だ。
どのコーヒーの中でも、そのコーヒーが、俺は一番好きだった。
空っぽになったマグカップを見て、密着した奴の嬉しそうな顔は、イラついていたけど。
一番、好きだった。
こんな、馬鹿みたいな日常。















『さ‥よ』
「あ?聞こえねーよメローネ!ちゃんといい母親みつけたのかよ!おい?」
『あ‥う‥ぎあ‥』
「おい‥どうかしたのか?‥おい!」
『ばいば‥ぎ‥ちょ‥ま‥てる‥』
「‥待ってるってどこでだよ‥おい、まさか死ぬんじゃあねぇだろうな?」

「‥‥‥おい、メローネ?」

「おい?返事しろよ!てめぇふざけてんじゃねぇだろうな?笑えねえぞ」

「‥ふざけんなよ!クソッ!そっちに今いくか」
『‥ギアッチョか‥?』
「!‥リーダー?どうしてリーダーが」
『一歩遅かった。‥やられてる』
「なん‥」
『‥しかし場所がわかった。メローネに頼んでた例の写真の解析が完了していた。メローネのパソコンのデータをそちらに送る。お前は、その写真の場所に行くんだ。いいな?』
「‥‥‥」
『‥ギアッチョ!』
「わかってるよ!今行くんだよクソッ!」
『‥ああ、頼んだ。行ってきてくれ』
「おう‥行ってくる」

















「来てほしくなかったなぁ」
両手で頬付きながら、しゃがみこんだ奴が、寝そべる俺を覗き込んでそう言った。
妙に明るいそこは、白い空間で、何もなかった。奴と、俺以外。なにも、なかった。

「‥よぉ」
「うん、久しぶり」
「元気か?」
「うん。でも泣きそう」

俺は起き上がる。奴の顔をまじまじと見て、苦く笑った。

「俺が死んだからか」
「うん、そう」
「お前、しっかししつこいよなぁ‥俺の事あきらめねえの?」
「だってアンタの事大好きだし」

しょうがないじゃん、と綺麗にメローネは笑った。その顔が、本当に、綺麗だった。

「みんなは?」
「先にいっちゃった」
「いった?」
「ソルベとジェラートは多分一緒にいるでしょ‥イルゾォは死んだ両親のとこに。えっと‥たしかホルマジオも両親‥あ、いやアイツは妹だった!そうだ妹だよ」
「妹を殺した奴をメッタメタに殺したからこの道に入ったっつってたよなたしか」
「そうだ妹だよー!全然似てなかった可愛かった!」
「‥プロシュートは?」
「ペッシを抱きしめてたね。脱マンモーニだって。あいつらも先いったよ」
「天国に?」
「そ」
「いけたのか」
「いけるよ。俺らも」
「‥リーダーは?」
「ばっか生きてるよ!」

メローネは楽しそうに笑う。笑いながら、泣いた。泣いていた。
俺は死んで初めてメローネが泣くとこを見た。それはそれは綺麗だった。笑う顔も、泣いた涙も。全部綺麗だった。

「ギアッチョの馬鹿野郎。死ななくてもよかったのに」
「でも待ってたんだろ」
「うんずっと」
「どうして?」
「だって、アンタも俺も、一人じゃんか」

俺は、親を知らないで育ったし、メローネは親に捨てられた。お互い家族はなかった。昔それを、お揃いだな!とメローネが笑った事があったのをぼんやり思い出す。

「一人じゃ可哀想だったからさ」
「本当は?」
「一人じゃ寂しかった」
「本当は?」
「‥寂しかった」
「本当は?」
「これが本当さ」
「そうか、お前も馬鹿だよな」

俺は奴を優しく抱き寄せた。
綺麗で、脆くて、馬鹿な奴。
いつもヘラヘラ笑って自分をごまかしてしまう、ただの可哀想なアンタが、
俺は、一番。


「今日のギアッチョは変だ」
「うるせえ変態」
「あはは」


いつもうざかった密着した奴の体。
いまだけは離したくなかった。
いまだけは、離したくはなかった。











お馬鹿なあなたがこの世界でも、やっぱり、一番好きかもしれないです。










――――――――
死ねたの中で一番甘い話かもしれない。ギアメロギアは両思いが好きです。つかこのカップリング好きです。メローネは愛に飢えてて、たまにギアッチョが与えてあげたら私が喜びますあああまじこの二人幸せになれ!リーダーが来たらみんな迎えにきて、文句を飛ばします。リーダー大好き軍団。








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