おはなし 7/11 22:11


!何か色々注意なナラフー






「ジョルノとミスタがうるさかったので、逃げてたら、行く宛がない事に気がついたんで、結局君のところに来てました」

そう言ってフーゴは俺にわざっと見せつけるように肩をすくめた。
この一年で彼の身長はさらにぐんと伸びたような気がする。俺との差は、徐々に広がるばかりだ。悔しい。
伸びた、と言えば。前、久しぶりに見たジョルノは一段と急成長を遂げていた。17とは思えぬ身長で、彼が言うにはもうすでに180cmは超えたそうだ。人の成長と言うのは怖い。

「足が自然と君のところに。昨日ぶりですね、ナランチャ」
「‥‥ああ」

フーゴは少し笑みながら、俺の目の前に座った。俺はそんな彼の隣へと移動し、彼の細長い手に自らの手を重ね、座りこむ。

「あ、ボク今日誕生日なんですよ。知ってました?」
「ああ!もちろん。俺がおまえの誕生日知らないはずないだろ?」
「まぁ、だから、今日ジョルノたちが騒いでたんですよ‥仕事もせずに、ボクの誕生日祝おうってさ‥」
「よかったじゃん!」
「いい迷惑ですよね‥少しは仕事しろっての‥どうせ全部負担はボクにくるんだってのに」
「大変だなぁ‥」

フーゴは俺に目を合わせてくれない。合わせられないのだ。
彼はそっと、瞳を閉じる。

「ああ、今年の誕生日は、すごく嫌いです。」

悲しそうに告げる彼は、少し泣きそうで。
俺はそっと、彼の頭を撫でた。綺麗で細く、透明な髪を流すように撫でる。感触は無い。

「いやな事でもあったのか?」

俺の言葉に、フーゴは答えない。答える代わりに、我慢してたらしい涙が、ほつり、と彼の綺麗なできもの一つないその頬に伝う。

「ああっ、もう、ほんっと‥‥今日は、最悪です‥‥っ」

彼はそう言って、ゆっくりと立ち上がり、駆け出した。目の前にある石に飛びついて、ただただしがみついていた。
噛みしめながら、俺の名を何回も何回も呼ぶ。

「おめでとう、と言って、ボクを、抱きしめてください‥‥一昨年は、うっとおしいって、振りほどいてしまったけれど、今は、今なら、ボク、抱きしめ返してやるから‥‥」

俺は言われた通りそっとフーゴの後ろから、優しく彼を抱きしめた。
そっか、と俺は苦く笑った。


「俺より、お兄さんになっちまったかぁ。‥‥‥18歳おめでとう、フーゴ」


しかし彼はやはり俺を抱きしめ返さず、ただただ俺の墓標を泣きながら抱きしめているだけだった。

そんな彼の額に、小さくおめでとうさん、と呟いてキスを贈る。俺が贈れる、彼への誕生日プレゼント。
感触は、なかった。











――――――――
幽霊ナランチャとお兄さんになってしまったフーゴ。

[追記]恥パ発売よりかなり前に書いた産物です。食い違いはご了承ください。







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