おはなし 6/28 19:40



!5部完後の話




「セミって知ってますか、ミスタ」
「ああ知ってるぜ。クソ暑い時にクソうるさいアレだろ」
「どうしてセミが精一杯鳴くかしってますか?」
「いや‥‥アレか?メスをよぶためとか‥いや、まてよ。メスも鳴いてるよな多分‥‥だぁー!わかんね!なんでだ?」
「わかったらボクに教えてくださいね。不思議でたまらないんですよ、なんでですかね」
「っておまえもわからなかったのかよ!」
「理論的にはわかりませんが、あのミスタ、少し長い話をしてもいいですか?」
「あ?‥‥いいぜ?なによ」
「ボクが考えた、セミが何故大声で鳴くのか、についてです。あくまでボクの考えであり、寧ろ絶対当たっている筈はないのですが、‥‥話しても?」
「ああ、だからかまわねぇから話してみろ」
「セミの寿命は、一週間ってのは知ってますか?」
「ああ。」
「ところがどっこい嘘です。本当は一週間ではありません。彼らは、三年くらい幼虫として土の中で生きています。ミスタの知ったかぶり」
「お‥‥おまえなぁ‥‥!」
「中には13年も土の中にいるセミもいるそうです。でも、大人になって鳴くのは、どのセミだって一週間しかない。」
「‥‥」
「こっからはボクの考えですが、彼らは自らの運命を知ってるからこそ、ああやってどの虫よりも強く鳴こうとするのではないでしょうか」
「‥‥‥‥はぁ?」
「脱皮して、土にかえる瞬間、あるいは、土の中で眠っている時、すでに自分の命はもうあまりないと察しているのではないでしょうか。だから、彼らは残り少ない命を奮い立たせ、生きた証を残そうとするために、唄うのです。高いところに登り、自分の美しい歌声を。」
「あー‥‥えっと、つまり、おまえはこう言いたいってわけ?セミっつーのは自分の運命を知ってもなお、自分自身が生きてるって表現したいがために鳴いている、と」
「自分の生きていた証がほしい、と思った方がいいかもしれません。」
「なるほどなぁ‥‥‥つうかおまえ可愛い事いうじゃねぇか。そんな非現実的なこと、考えるのか」
「そうですね、すごくおかしいです。ただね、ミスタ。そう考えると、セミの鳴き声が、綺麗な歌声に聞こえませんか?」
「ああ、‥‥そうだな」
「中には9日生き延びたセミもいたそうで。」
「あはは。そいつ、きっと頑固強かったんだろうなぁ」
「ええ、本当に‥」
「で、ジョルノ」
「なんです?」
「セミはどうしてあんなに鳴くんだ?」
「さぁ?知りません」
「フーゴに聞くか?アイツならなんでも知ってそうだ」
「やめときましょう。正論言われたら、この考えを考えたボクがたまったもんじゃありません」
「はは、だな。」
「ねぇミスタ」
「あ?」
「‥‥ボクは、一生忘れられないでしょうね。あの、歌声を。」
「ああ、それ俺も同感だな」











彼らの歌声を、証にするのは僕ら。

命目一杯鳴くセミとあの三人を重ねているジョルノ君。
忘れないことが証になるってことですよ。
9日生きたセミは死んだけどもなお生き続けたあの人。









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