おはなし 10/9 21:36 !フーナラ !へたれ年下攻め×お兄さんな年上受け !ちょっとえっちぃ事しちゃってます !あっでもまぁそういった表現ないので全年齢大丈夫かと‥‥(殴 恋愛になれてないフゴたん萌 フーゴは部屋のドアのノブにずっと右手を添えながら、外の廊下をきょろきょろ見わたしている。だれか来ないだろうかと見張っているのだろうなと俺はそう悟った。今回の任務は遠出の出張というやつで、チームのうち四人(俺らの他ブチャラティとミスタが)はその任務につくことになり、ホテルに泊まることとなった。ホテルの部屋は二人に一つといった具合で、つまりは今ここにいる俺ら二人は相部屋になった同士である。 フーゴがいつもの冷静さを微塵も見せずそわそわしている理由はわかっている。こんなチャンス、めったに無いからだ。そして逃すわけにはいかないと、フーゴはそう思っているのだろう。 2人っきりの、チャンスというやつを。 2ヶ月前、とうとうフーゴが長年言わずじまいだった告白を消えそうに小さな声で俺に告げた。しかも勉強中にである。 フーゴの気持ちには気がついていたし(なんせわかりやすいのだ)、俺も元々かなり昔からフーゴの事が好きだったので、引くといった行為もするはずはなかった。いきなりの告白に驚いたといったリアクションはしなかった、というか彼が言うまでずっと待ってた身としてはやれやれやっとかとさえ思ってしまっていた。 すぐには返事を返さなかった。というのも、相手が勉強中に告白、といったシチュエーションを選択したフーゴが悪いのだ。その時の俺はいわば絶好調だった。1問も悩む事なくスラスラと数字を並べていた。それに夢中になっていた。時にだ。 「き、君が‥‥っす、きです‥」 なんて言われたら、無意識に「うん」と言ってしまったのは無理もなかったなと思う。その後にあっと気がつき、ああやっとか、と告白された事に自覚した。 「ほっ本気ですからっあの、その‥できれば、引かないでくれないか‥や、いやなら別に、いや、でも‥」 真っ赤になりながら、しかし自信はないのか心配そうに顔を歪めながら彼はしどろもどろに言った。 なんだか答えを早く返してやらねば可哀想だなと直感し、正直に「俺もすきだ」と告げたのが、2ヶ月前。 それからは一緒に任務を行きたがったり、勉強と表しテラスで向かい合ってお茶会したり、散歩しようとすれば「僕も同行します」と素早く隣に歩くようになった。 その幾らかの共に過ごす時の中で、時たま彼は、真っ赤になりながら俺に忘れさせないようにか「好きです」と呟いてくれる。 彼の意外な可愛い一面を見るようになったこの恋人という位置はすごく居心地がいい、ずっと一緒にいたい、そう思うようになっていた。 ある日、一週間前くらいだろうか、フーゴが俺を、人気のない路地裏に呼び出した事があった。 その時のフーゴの様子が少しおかしくて、なんだか、そわそわして落ち着きがなくて、俺は少し覚悟することにした。つまりは、何かしらフーゴが恋人としての行動をするのだろうと、そう感じたのだ。路地裏ということは、キス一つかまされるかもしれない。 そう思っていたら、フーゴが思い詰めたように真っ直ぐと此方を見つめ、真っ赤になった顔を隠すように掌を顔に覆い、俺に言った。 「て、てて、手を繋いで歩いても‥いいですか‥?」 あっこいつ童貞だ。 先ほどまで歯の並びの悪さを気にしていた俺は、そう冷静に悟った。真っ赤になって下を俯くフーゴに苦笑を投げかけ手を差し伸べた。 嬉しそうにぎこちなく握りしめたフーゴの手は汗びっちょりだったが、体温は冷たかった。緊張していたのだろう。 これはすごく長い長い戦いになりそうだ。 そう思って冷たい手を握り返したのが、一週間前。 扉を閉めたフーゴは、カチリ、と丁寧に鍵までかけていた。俺はそれに疑問を抱き、顔を上げて、正面からフーゴを見据える。逆にフーゴは俺を見ない風に此方に近づいてきた。顔が、真っ赤だ。 さて、今回は何をしてくれるのだろうか。やはりここはキスだろうか。それなら触れるだけのキスだろう、いや、唇にすら躊躇って他の場所にやるかもしれない。しかし彼の事だ。いつも期待を裏切ってくれる。ので、期待はさほどしていない。もしかしたら、「今度は恋人繋ぎで手を繋いでいいですか」なんて言い出すかもしれない。 なかなか此方に来ようとしない(正確には向かっているのだがかなりの、それはそれはかなりのスロースピードだ)フーゴに、俺はにかり、と微笑んで手招きした。 「フーゴ、近くに居てよ」 そう言えば真っ赤になりながら素直に隣へ舞い降りてきた。いつもこうなら年下っぽくて(現に年下であるが)可愛いのに。と思った。 「な、ナランチャ、‥」 意を決したように、間近で俺を見つめるフーゴの真剣な目線に、深くにもドキリと音が鳴る。その音を耳で素直に受け止めながら、俺も見つめ返す。さぁ、どんな願いを恋人は出してくるのだろうか。 心待ちにしている俺を知らずに、真っ赤な顔をしながら、震える唇でフーゴは言葉を放った。 「だ、抱かせて、くれませんか‥!」 俺は瞼を数回ぱちぱち上下に揺らし、足りない頭を一生懸命動かし、あまり使わない外国語を思い出しながら口にした。 「わっ‥わんもわ‥ぷりーず」 「き、君を、抱きたいです‥!」 聞き間違い、ではなかった。 確かに、抱く、とそう言ったのだ。 おっとこれは予想外だぞ、と俺は冷や汗をかく。喉が乾ききって、落ち着こうと唾をゴクリと飲み干した。つまり、緊張していた。彼の顔の真っ赤さが俺の体中にもうつる。それに気づいたのか、あっ、とフーゴは小さく声を出す。 「いっ‥いやなら、いいんだっ!なんていうか‥その、‥‥うん」 「い、嫌って言ってないだろ‥!」 そう発言した後、俺ははっとする。うわっこれじゃあ抱かれてもいいと肯定したようなもんじゃねぇか、と途端に真っ赤になった。フーゴなんか俺以上に真っ赤で、イチゴのピアスの色が彼と同化しそうなほどだった。 じゃ、じゃあ‥とフーゴが消え入りそうな声を絞り出す。 「抱いても‥いいんで、すか‥?」 真剣な目線で告げるフーゴに、俺はうっと呻いた。色んな議論が、俺の頭の中で展開される。 イヤなのではないが、準備はなにもしていない、だの、まだ風呂入っていない、だの色々は色々であるが、一番に出たのは、抱かれると痛い、のその一言である。 俺の過去は薄汚いもので沢山詰められている。ムショの檻の中に処女は置いてきてしまった。だから、もし今回フーゴの相手をしても初めてではないし、フーゴがもし上手くリード出来なかったとしてもこちらが誘導すれば何とかなるだろう。しかしだ。 何回やっても、アレ、は痛い。 もう一度言うが、フーゴがイヤ、ではない。でも、痛いのは、正直イヤなのだ。 一瞬俺がフーゴを抱こうか、とさえ考えたが、やめた。あんな痛いのをフーゴには無理だ。キレるのがオチだろう。 いろいろ、悩んだ結果、俺は小さくフーゴに答えた。 「いいよ、フーゴ。抱けよ」 痛いのはイヤだが、遅かれ早かれ、いつかはフーゴとのその時はくるのだ。なら、今でも別にいいんじゃないか。そう思った。 フーゴが、ゴクリと小さく喉仏を上下させているのが見てわかった。相変わらず顔が赤く、いつもは大人びているくせに、今はまるでエロ本を初めて見た少年のように幼い緊張を浮かべているフーゴを見て、俺は先程まで張りつめていた緊張を一気に緩めてうっすら笑ってしまった。 一応、風呂に入った方がいいか、と聞くと、いりません、と真っ赤になりながらぶんぶんとフーゴは首を横に振る。 そっと両肩に手を置かれる。 「本当にいいんですね‥?」 「ああ」 「じゃあ‥だ、抱きますよ‥?」 「うん、こいよ」 じれったくなって、小さく腕を広げれば、フーゴはゆっくりとこちらと距離を縮めた。 俺はゆっくりと瞳を閉じる。 押し倒すか、キスか、どっちから先だろうか、と暗闇で彼の行動を待っていたら、そっと体が温かくなる。 目をうっすら開ければ、彼の肩が口もとにあり、ああ抱きしめられているのかと知る。フーゴの心が俺の心にどくんどくんと音を伝えている。緊張をほどいてあげようと、そして今から起こる事に期待を寄せながら、俺は彼の背中に手を回し、ゆるりと撫でた。 しばらくそうしていると、ゆっくりとフーゴは俺の体から離れた。顔は晴れやかだ。 勿論、俺は今の彼との距離と笑みに疑問を感じた。 「え」 「あ、ありがとうございましたナランチャ、すごく、その、大好きです‥」 「えっ」 「では、おやすみなさい」 「えっ‥えっ?ちょ‥えっ!?ちょちょ‥待てよ!」 俺は思わずがしり、とベッドに向かうフーゴの腕にしがみつく。それにびくりと肩を震わせたフーゴは足を止め、なんですかと呟く。 「俺を抱かねーの!?」 恥ずかし気もなくそう俺が叫べば、フーゴは少し恥ずかしそうにあははと笑った。 「今、しましたが‥ナランチャがいいのでしたら、もう一回抱きしめますけど‥いいんですか‥?」 その瞬間、俺の思考がピシリと音をたてた。ああ、なるほど、そういうことね‥そういえばこいつはこんなやつだったなうん‥ 思い知ると同時に沸々と羞恥と怒りが沸いてきた。なんだか俺が破廉恥のようで仕方ない。というか、紛らわしすぎる。 これじゃあ、抱かれるまで100年はかかるぞ。 「ナランチャ‥?どうしたんです、黙りこんで‥」 勿論俺は吸血鬼などではないので不老不死じゃない。100年なんて生きられるはずない。 「ああ、フーゴ、何が何でも俺を抱いてもらうぜ」 「ならん‥」 俺はフーゴの肩を勢いよく掴み、その唇に向かって噛みついた。 んう、と鳴くフーゴと向こう側にあるベッドまで一緒に吹っ飛んだ。 イライラしていたので、ベロまでしっかりつっこんでやる。ざまぁ。 そっと離してやれば、かくん、とフーゴが真っ赤になりながら顎を下に下ろした。はぁはぁと息を切らしながら出した第一声が「僕のファーストきす‥っ」だった。 やっぱり初めてだったのか。 「ならん‥、ど、いう‥」 「あのさフーゴ、おにーさんは、待ってるだけじゃないんだぜ‥?」 俺はそう言ってフーゴのネクタイをほどきながら、もう一度彼に口づけた。 次の日の朝、起きたら関一番に、裸で正座したフーゴから、責任取ります結婚してくださいとプロポーズを受けた時は、思わず笑ってしまった。 ――――――― うわあああなにこれ恥ずかしいいわあああああなんだこんな文章恥ずかしいわあああああ!! |