SS

XOXO





あいつが試合のケガのせいで入院してから、1週間経った。

ようやく面会の許可が下りた昨日はチーム全員でお見舞いに来たが、今日は個人的な来訪だ。

「神童、」

こんこんこん、と扉を叩く。

「…寝てるのかな」

返事の無い横開きのドアを開けると昨日と変わらず、白いベッドに横になる神童の姿。
起きてはいるものの口には酸素マスクが着けられていて、これで喋れなかったのか、と納得。

ケガの詳細はわからないけど、とりあえず大手術をする程度ではあったらしい。

「神童」

呼び掛けると、ふわりと笑う神童。






ベッドの横の椅子に座ると、それに合わせて神童の目線もゆっくりと動く。

「まだ起き上がれないのか」

と聞くと、縦方向に微かに動く顎。

「これじゃあキスもハグもできないな、」

ははっ、と出来るだけ軽くなるように言ったら、神童は一瞬とても悲しそうな顔をして、それから、

「?」

おぼつかない指先を一本、俺の頬に這わせる。

それはまるで、×と〇を描くような線で。


「?どうした、神童」

俺が聞いても、神童はただただ悲しそうな笑みを浮かべながら図形をなぞるだけだった。










__________
XOXOのXはキス、Oはハグを表し、英語圏のメールの文末に使われるそうです。



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