07



高杉との関係が近藤さんにバレた。どうやら山崎がこっそりあとをつけていたらしい。まぁ、あいつ地味だもんな。
俺は真選組を裏切ったわけじゃねェし、組の情報を漏らした覚えもねェ。高杉も『真選組副長の俺』を利用する気はこれっぽっちもなかった。だが、馴れ合っちゃいけねェ敵の男と懇意になったのは紛れもない事実で、だから俺はすぐさま切腹を申し出た。
死ぬのが怖くないワケじゃない。ただ、近藤さんに失望されてまで生きる方が耐えられなかった。
しかし、そんな決意も虚しく、近藤さんは首を振って切腹を却下すると、襖の外の気配に向かって呼び掛けた。

「高杉ィィィ! 俺より強い男にしかトシはやらんからなァァァ!」

………は?
仁王立ちでビシッと指をつきだして格好つける近藤さんと、「はっ、上等だァ」とかなんとか笑いながら姿を現した高杉に、俺はちょっと状況がよく分からなくなった。
なんだよこれ何フラグだ? てっきり俺の死亡フラグだと思ってたんだが違うのか? つかそもそも『強い男』とか『弱い男』とか、そういう問題じゃねェだろ、そこじゃねェだろ。俺たち警察とテロリスト!
脳ミソが混乱して上手くツッコミを入れられないでいると、いつの間にか頭のゴリラな近藤さんと、頭の残念なテロリストが、庭に出て睨み合ったまま手をポキポキ鳴らしていた。俺どうしよう。

「景品は黙って『私のために争わないでー』とだけ歌ってりゃいいんでィ」

「いや総悟それ黙ってねェし、つか景品ってなんだ」

気が付けば、対峙する近藤さんと高杉の周りには隊士やら鬼兵隊やらの人だかりが出来ていて、それぞれ「局長ぉ! 害虫駆除お願いします!」だの「高杉さん頑張って嫁をGETしてください!」だの、無責任なエールを飛ばしている。
なんだこれなんだこれなんだこれなんだこれ。
とりあえず、ふたりを止めなけりゃあ、とんでもないことになる。近藤さんと高杉が斬り合えば、どっちが勝つかなんざ見当もつかねェが、どっちかが再起不能になるのは確実だ。
どうしよう。え、やっぱり『私のために争わないでー』って歌わなきゃならねェのか? 無理だ。

「いくぞ高杉、貴様にトシは渡さん」

「ククッ俺は止まらねェよ獣の呻きがやむまでなァ」

ふたりの殺気が膨れ上がる。

「近藤さん! 高杉! やめ…」


「「じゃーんけーん…ぽん!」」


「…………あれ?」




07じゃんけん
(「ちなみに俺のはここがグーでここがパーでここがチョキだ」「奇遇だな俺もここがグーでここがパーでここがチョキだ」「チッ引き分けか」)


 ̄ ̄
けんかをやめて〜 2人をとめて〜 私のために争わないで もうこれ以上〜♪ って誰かこの歌知ってるんだろうか……。



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