01



「あいつ、もう許さねェ」

「オメーこの前もおんなじこと言ってたぞ?」

「今度は本気だ。あの野郎、俺にまでマヨ食わそうとしやがって…」

「はいはい」

銀時が投げやりに返事をしてやると、眼帯に隠れていない方の瞳を怒りに燃やす高杉は、ギラギラとその眼をこちらに向けてきた。
すっげー迫力…。
呆れ半分、感心半分にそう思う。さすが、関東1の不良という中二臭い称号を冠するだけはある。しかし、怖くはない。
喧嘩ッぱやい印象を持つ高杉だが、彼が本気で怒るのは、ただひとりが関係するときだけだと銀時は知っていた。そして、そのただひとりとの関係性ゆえに、高杉の怒りは他人には馬鹿馬鹿しく映るのだ。

「どうせ明日には仲直りしてるくせに」

「あ"ぁ!?」

「なんでもないですぅ」

心臓の弱い者なら死んでしまいそうな視線で正面から睨まれ、また更に背後からも同じような視線を感じて、銀時は深々と溜め息を吐いた。たぶん、今振り向けば、艶やかな黒髪を持った同級生が、涼やかな水色の双眸に殺気を込めて、こちらにガンを飛ばしている光景が見えるだろう。
その証拠に目の前の高杉も銀時に、否、銀時を透かした向こう側に意識を尖らせている。それでいて視線は相変わらず銀時に固定されたまま外れようとしない。
気になるならさっさと謝りに行けよコノヤロー共が、とは機嫌を損ねるのが分かっているから、心の中だけに留めて。毎回毎回同じことを繰り返しているのだ、このふたりは。だから銀時は理解している。
明日になれば、彼らはいつもの通り、向かい合って笑っているのだろう。いや、もしかしたら明日まで待つまでもないかもしれない。恐らく、銀時を透かした向こう側を気にしているのは、高杉だけではないのだから。

どーでもいいけど俺まで巻き込むなよバカップル、と悪態をつきかけたところで、他人に配慮出来ないからこそ、バカップルがバカップルたる所以なのだと気付いた。




01にらめっこ
(最早それはただの公害だ)


 ̄ ̄
リクエスト企画ばっかじゃ流石に芸がないと思ったので、60000感謝ではこんな感じの短い話をうpしていくつもりです\(^o^)/



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