※高杉さん家が本格的にテロを始めたようです



桂が知る限り、高杉は一番初めに銀時の殻を破った同年代の存在だった。

『おい、そこの天パ! いちごぎゅうにゅうかってこいよ!』

そう言って、部屋の隅でじっと踞る銀髪を蹴り飛ばしたのだったと記憶している。
高杉にしてみれば、身長を伸ばすために日課にしていたカルシウムの補給路がちょうどなくなって、たまたま手近にいた人を選んだだけだったのだろう。
その高圧的な命令口調は、まだ幼かったことを差し引いても、決して褒められたものではなかったが、裕福な家柄の子どもらしく他人(ひと)を使うことに慣れていた彼は、そういった傲慢な一面が当時からあった。
そして、それに返した銀時の言葉も『自分で買ってこいよチビ』だったりしたのだから大概救われない。
だが、戦場で拾って来たのだと言う無口な薄気味悪い色彩の子供に、松陽以外から声がかかったのは、それが最初だったのだ。その僅か1分にも満たないやり取りで、ガラリと『得体の知れない銀色の小鬼』の印象が変わり、一気に周りと打ち解ける様になったのだから。


『誰がてめえの手なんか借りるかよ!』

銀時がそう言い放ったのは戦時中のどの時期だったか。手を差し伸べる側の白夜叉に、手を差し伸べられるのはその頃には高杉しかいなかった。
いや、単純に強さにおいて言えば、桂でも坂本でも或いは出来たかもしれない。しかし、先陣を切るタイプの高杉や銀時と違い、こちらはどちらかと言えば後方で戦況を見渡し、戦局を組み立てるタイプであったから、結局それは叶わないモノだ。

ゆえに、きっと高杉の存在は銀時の中でとても大きかった筈なのだ。

だから――…


「やめておけ」

銀時の握った真剣を奪い、代わりにいつもの胡散臭い木刀を渡す。桂はただ真っ直ぐに赤い瞳を見つめた。
瓦礫の山と化した江戸で、辺りに燻る火を映した二粒の紅玉は、それゆえか、ゆらゆら奇妙な光に揺れているように見えた。




さよなら、幼き君よ
(それでも想い出は捨てられない)




 ̄ ̄
銀高というか高銀というか…知らないよ最初はこれ高土にするつもりだったんだから(汗)
『今度あったらぶった斬る』約束を守ろうとする銀さんと止める桂なんですか? ←訊くな




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