キミと俺は似てるけど、キミと俺は同じじゃない。
だってそうだろ？ キミと俺は嗜好や思考が似通ってて、行く先々で出会ったり、ソックリな言動とったりする。それがまた気恥ずかしくて、意地を張ったりするけど。

それでもキミと俺は同じじゃないから、このキモチは俺にしかないものなんだろうな……。


『多串くぅん！』

…なんて、しょーもない事を考えながら俺は今日も愛しいキミに声をかける。
振り返るその鬱陶しそうな表情も見慣れたもの。そんなもんは気にしねェ。現在俺はキミに絶賛アタック中。

あれだけ似てりゃあ気になるのは当然の事で。だけど同じじゃないから同族嫌悪なんてするハズなくて。
いつの間にか俺はキミに夢中だ。パフェ買う金があるなら、キミとホテルに行きてェ。はい、今サイテーとか思った奴。周りの男子に訊いてみろー。大概こんな事考えてるヤローばっかだから。思春期なんてそんなもんだから。ってあれ？ 銀さん思春期？ ハタチ過ぎても厨二病ですかコノヤロー。
まぁ、中二みてェなウブな片想いしてんのは事実か。

そんな純な、そして若干汚れた想いを抱く俺は、新八や神楽の冷たい視線もなんのその！ (いや、ちょっとは傷付いてるけど。)今日もパチンコという名目で、キミの姿を捜しにいく。
仕方がねェだろ。
ひねくれて育った俺は、素直にキミに会いに行くなんて言えやしない。

ほどなくして見つかる黒い服のキミ。俺が好む道はキミが好む道だから。


俺はいつものように大声でキミの間違った名前を呼んだ。




　＊




嗚呼、やっぱりか……。自分で仕掛けておきながら、俺は少し哀しくなった。
だってキミは叫んだ俺を見ちゃいない。つーか声すら聞いちゃいない。
キミの隣には、キミとおんなじ黒い服の少年がいたから。

キミと俺は似てるから、慕ってくる奴を突き放せやしねェのは良く分かる。俺だって白夜叉時代には、俺を崇める奴等を見捨てられなくて色々自分の限界を越えた無茶をたくさんやった。
でもキミと俺は同じじゃないから、俺は奴等をただの弟分ぐれェにしか思えなかったけど、キミはそうじゃなかったんだろ？
だからそうなったんだろ？


慕って崇める対象を手に入れようとした沖田君が奴等と違ったのか、ただ単純にキミが俺と同じ人間じゃなかったからか。どちらにせよ、キミと俺は限りなく似てるのに、全く異なる未来像を掴み取った。
キミと俺が同じだったら、きっとキミは俺と同じ未来像を掴んだハズだ。自分を慕ってくる奴を愛すなんて未来像を掴まねェハズだ。
だけどキミと俺が同じだったら、沖田君を愛しはしなかったろうけど、間違いなく俺は同族嫌悪が起きてるハズだから。

同じならキミは彼のものにはならなかったけど、同じだったら俺はキミを嫌ってた。
結局どっちにしても叶わない。

先生が死んでから、世界を運命を受け入れて生きてきた俺には、どっかの誰かさんみてェに何かを壊す狂気も、どっかの馬鹿みてェに何かを変える勇気も持っちゃいねェ。


ま、とりあえず今日はこのまま引いてやるさ。
明日はまたいつものように、パチンコという名目でキミに会いに行こう。
似てるキミと騒ぐのは、思いの外楽しい事だから。鬱陶しがりながらも、俺の相手をしてくれるキミもそう思ってんだろ？
まぁ彼が隣にいれ時は、俺を視界にすら入れちゃくれねェけど。


これだけ似てる俺達なんだ。それぐれェ『同じ』想いを抱いてくれたっていいだろ？




『多串くぅん！』


今度はそう呼び直したら、キミは律儀に反応を返した。一瞬だけ視線の先がアイツじゃなくて俺になる。

そんな距離。




￣￣
沖土←銀みたいな感じの銀ちゃんキャラ崩壊拍手お礼文。
最終的に何が言いたかったのか分からなくなりました。