四代目拍手お礼文



好きな奴の前じゃカッコつけてェって思うのは男として当然の事だろ?
俺だってそうだ。
世間で凶悪テロリストだのラスボスだの言われてちゃ余計にな。
そういうキャラに自分を作るのは難しい事じゃない。つーか俺に出来ない事ァねェ。だが一つ問題があった。
そう、俺の恋人は絶大な色気を無自覚で垂れ流す超ド級のツンデレだったんだ。


「た、高杉!? 何でここにテメエが!?」

屯所に上がり込んでた俺を見て、すっとんきょうな声を出したコイツが俺の恋人、真選組副長土方十四郎。
焦った顔が可愛いなァ、なんて、思っても俺はニヒルな笑みを崩さない。よしっ今日は順調だぞ俺!

「何だァ? 俺がいちゃ困んのか?」

クツクツ笑いながら土方のさらさらした髪をすいてやる。そしたら一瞬で真っ赤になりやがった。やべぇ。

「別にッッ俺は困らねェけど! 見つかって捕まんのはテメエだしな!」

必死に興味ねェフリしてるが……駄目だぜェ? 土方。『見つかって』って、それじゃあテメエ自身には捕まえる気がねェのが丸分かりだ。
鬼の副長が俺(テロリスト)を捕まえねェなんざ、つまりその理由は一つしかねェだろ?

「ククッ、テメエは俺が捕まえるとでも思ってんのか。ナメられたモンだなァ? 俺ァ止まらねェよ、獣の呻きが止むまでなァ」

あ、しまった。浮かれて色々口走っちまった。何だよ獣の呻きって。どこから呻きがすんだよ。俺かァ? 俺ん中からかァ? そんなん聞こえたらただの電波ヤローじゃねェかよ。
まぁ土方の顔は赤ェまんまだから、幸いなんかカッコいい方向に解釈してくれたようだ。危ねェ危ねェ。原作のイメージって偉大だ。


「……何か…お前、狡ィ」

内心ほっと息をついてると、土方がぽそっとそんなような事を呟いた。

「あ?」

「だって、お前ばっか余裕あってよ。俺ァ……、」

ぐっじょぶッ、神様、先生ありがとう!
拗ねたように眉を顰めて唇を尖らす土方は、思わずこの俺が設定を忘れて世界に感謝しちまいそうになるぐらい可愛かった。
まず土方がデレを発動する事が稀だから、破壊力は倍増だ。
だが、そこは昔とった杵柄つーか、さすが俺、ニヒルな笑いを崩さずに対応する。

「んな事ァ仕方ねェだろが。てめえは俺を愛してんだからよォ」

「むー。別に愛してねェし」

だからそれェェェェ! なんだ『むー』って『むー』って! 誘ってんのか天然がァァァァ!
いやいやいや落ち着け俺。
あー、やべぇ。今のはヤバかった。ニヒルに笑いながら鼻血吹くとこだったぜ。
良かった、攘夷戦争時代に暇が出来る度にポーカーに興じておいて。ポーカーフェイス身についたもんなあれで。賭け事好きのモジャと天パに感謝だなこりゃァ。

…なんて思いながら、俺は今日も土方を惚れ直させる為にニヒルな笑みを浮かべる。


「酷ェな。俺ァお前を愛してンのによぉ土方ァ」

「………ッッ愛してる…なんかで、収まるかよ」

俺の企みは成功し、土方は真っ赤になりながらそんな事をポツリと呟いた。
神様この世界を創ってくれて、あざーっしたァァァァァァ!




「おい高杉、なんか鼻から血が出てんぞ」

「…………」




 ̄ ̄
どうしてこうなった。




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