三代目拍手お礼文2



駄目なんだ、アイツと居る事はそれだけで死罪に価する罪だから。

なァ高杉、てめえは言ったよな? 俺達は敵だって。
だから俺はちゃんと、江戸ターミナルを焼き討ちしたてめえに刀を向けたのに。てめえだって刃を合わせてきたってのに。
なんで最後の最後で刀を退いて笑うんだよ……!

ゴボッと目の前の身体から溢れる深紅の液体は俺を着実に絶望へと追い込む一方、実は全くリアリティがない。
だってそうだろう?
あのいつも人の事をおちょくってきた食えねェ隻眼の男が俺なんかに殺されるワケがねェんだから。
きっと直ぐに起き上がる。そのひとつの眼いっぱいに俺を映して、何て顔してんだァ? ってクツクツ笑うハズなんだ。

カランと乾いた音を立てて手から滑り落ちた愛刀にハッと我に返った。
目の前には変わらず深紅が横たわる。


きっともう互いに後戻り出来ないトコまで来ていた。
これはたぶん高杉の最後の賭け。高杉が死ぬか俺が死ぬか……いや、高杉が俺を殺せるか否かの。

きっともう互いに後戻り出来ないトコまで来ていた。てめえに殺されるならそれもいい、なんて、強がりでも何でもなく思えるぐらい。
そしてこれはたぶん高杉の最後の賭け。いつだって気恥ずかしくて、身体は重ねても愛の言葉は吐かなかった俺のホントウの気持ちを知るための。

アイツはそういう奴だから。己の願望や好奇心、はたまた興味をそそられたモンには躊躇いなく命――自分他人問わず――さえも簡単に賭け金に出来る男だから。


俺だってそうなんだよ馬鹿ヤロー。
てめえは真選組副長を懐柔するために愛してるとか言ってんじゃねェかって、ずっと俺だって。

もう“互い”に後戻り出来ないトコまで来てたんだよ。
俺だっててめえに殺されるならそれもいいって思ってたんだ。

俺とてめえを分けたのは、俺には守るモンがあっててめえにはなかったから。
てめえの守るモンはとっくに全部なかった。そうだろう?
てめえは笑って死ねたけど、俺はもう笑って生きられねェ。てめえの死ぬきっかけにはなってやれても、生きる理由にはなってやれてなかった俺は、きっと一生後悔が残り続けるから。

ほら、もう上手く笑えねェ。
敵の大将を討ち取ったってのにアイツらに見せるのはただただ無表情。
ジンと眼の奥は熱いのに、直ぐ眼前の赤い骸にすがりついて泣きわめく事も赦されねェ。

きっとそう、これは共に居るだけで死罪に価するてめえとそれでも居続けた俺の罪。

一生背負う俺の、罰。




 ̄ ̄
あれ? 気付いたら死ネタにorz




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