ダレカコノテヲツカンデクダサイ
キコエナイオツゲ

「カミサマに逆らってまで戦って楽しいか?」

何を言ってるんだこのアホは。
俺は真顔でアホな質問してきた高杉をまじまじと見詰めた。

「何言ってんのお前?」

「だから、カミサマに逆らってまで…」

「あー、うん。聞き間違えじゃなかったんだな。マジで神様って言ったんだな」

ハァ、と溜め息をつくと、緑色の双眸がキョトンとした視線を向けてきた。俺の反応が意味不明とでも言いたげだ。
言っとくけど、本当に意味不明なのはお前の方だからな。
そんで、そんな意味不明なことを、天人と交戦中の今尋ねるべきじゃねェだろ馬鹿だろ。力抜けるだろ。白夜叉の戦意を削ぐなんて、やっぱお前凄ェよ。馬鹿だけど。

「大体お前、神様ってがらじゃねェだろ」

俺と一緒で無神論者だと思ってたんだけど。寧ろどっちかってと先生を崇拝してるように思ってたんだけど。
隊をひとつ率いて、総督なんて立場にいるくせに、まるっきり電波そのもののこいつにも理解出来るよう、そんなツッコミを優しく入れてやる。だが、結局電波はやっぱりただの電波で、「いや、神様は信じてねェ」とか、真剣な顔で返してきた。ホント何なのこいつ。

「俺が言ってるカミサマは、世間で言う神様じゃなくて、俺やてめえ、ひとりひとりの中にいるカミサマだ」

「つか晋ちゃん、前見ようね!? ほら今にも敵が襲いかかってきそうな雰囲気!」

「俺ァカミサマのオツゲ通り戦ってるからいいが、てめえはカミサマのオツゲに叛いて戦ってるだろ? 俺としちゃァそれが気に食わねェ」

「その話は今しなきゃいけないことですか!?」

「なぁ銀時ィ。お前もいつか、カミサマのオツゲが聞けるといいな」

それまでは俺がお前を見張っててやるよ、と何故か恩着せがましくふんぞり返られた。
そうして馬鹿は、馬鹿みてぇに綺麗な顔で、ケタケタと馬鹿な声を上げて、馬鹿を丸出しながら笑った。


俺がこいつの言ってることを、ほんの少し理解するのは、戦争が終わって、もうひとりの馬鹿に会ってからの話。



<了>


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