実は俺達…あれなんです。 | ナノ

第三訓

<ジャンプは時々土曜日に出るから気を付けろ>


「まだ銀さんの命狙うつもりなの?」

シンパチは万事屋でバイトをすると言い出した夜兎族にそう尋ねた。
彼女が坂田銀時を殺すために送り込まれた刺客であることは気付いていた。裏事情に詳しいシンスケから『夜兎が刺客に雇われてるらしい』と連絡が入っていたのだ。
だからシンパチは、バケツに挟まってまで彼女を監視した。その努力は実を結んだのかと訊かれれば、なんとも気まずいものではあるが、最終的に、坂田銀時は死んではいないのだから、とりあえず任務は成功と言えるだろう。
別に任務のためだけに、行動しているわけではないのだが。

「別に私は鮭茶漬けのためにあの銀髪のキンタマとってこい言われただけネ」

ツンと唇を尖らせて少女は、拗ねたような可愛らしい年相応な表情で答えを返す。

(嗚呼、そうだ)

シンパチは思う。
一貫して、マセた態度を貫いていた彼女の、こんな素の顔をあっという間に引き出してしまう銀時だから、きっと任務だけではなく本当に彼を――それはそれはまるで家族のような気持ちで――単純に死なせたくないと思うのだと。


「雇い主がいなくなった今、奴らの言う事きく義理ないアル。それに……」

それに、さっきも言ったアル。私ああいう馬鹿が好きヨ。

そう言って彼女が綺麗に笑ったのを見て、シンパチはようやく肩の力を抜いた。


〜 Fin 〜



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