実は俺達…あれなんです。 | ナノ

肘レンジャーができるまで


「やっぱキメゼリフが必要だよな」

ぽつりと馬鹿なことを言い出したのはやはりこの人、先ほど任務のリーダーを任されたトウシロウさんだ。


『なんか色々歴史がアレらしくてさー、取り敢えず過去へ行って坂田銀時って人間を守っといてくんない?』

僕が上司からそんなアバウトな命令をうけた数時間後のことだった。
まぁ、そのヘラヘラした命令の裏には、ヒジカタとタカスギだけでこんな重要任務につかせるとか自殺行為だろ! とかいう切羽詰まった思いがあるんだろうけど。




「「はぁ!?」」

僕らは盛大にイミワカリマセーンとアピールしたけど、果てしなく自己中なトウシロウさんがそれを気にするハズもない。
普段真っ先にトウシロウさんにツッコミを入れるはずのシンスケさんも、流石にポッカーンとしている。
一方のトウシロウさんは、そんな周囲の反応お構い無しに“あの”坂田銀時に会いに行くんだ失礼があっちゃいけねェ、とばかりに眼を爛々と輝かせて鼻息荒く興奮していた。
顔はいいのにキモチワルイとか貴重だ。

「だって過去へ行って歴史守るとかマジ戦隊モノじゃねェか! そりゃキメゼリフ決めてた方がいいだろ! やっべェ俺サンバルカンとかアバレンジャーとか好きだったんだよ」

「なんですかそのマニアックなの!?」

「俺はメガレンジャーのが好きだったぜェ?」

「お前もかァァァァァ!」




結局ごり押しされて、トウシロウさんはリーダーは赤に決まってんだろうが! とかで『ひじレッド』に。
シンスケさんは、赤ときたら青だろブルーってイケメン的ポジションだしシンスケにぴったりじゃね? なんだトウシロウお前俺に見惚れたのか? バッカお前ェはいつもカッコいいだろ…とかいうバカップルな会話の後『すぎブルー』に。
そして僕は『ぱちグレー』になった。

グレーって色合いに悪意を感じる。




「キメゼリフは『正しき歴史の流れを正しき歴史の流れを守るため、捨て身の覚悟でやって来た、愛と正義の勇者タイムパトロール戦隊肘レンジャー!』な!」

「語呂悪! つーか肘レンジャー……っていうか『ひじレンジャー』ってお前の名前かよ!」


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