第二訓+
<ペットは飼い主が責任を持って最後まで面倒を見ましょう。だから雇い主も従業員の給料を責任持って払って下さい>
「そんなことトウシロウの前で言ったらボコられんぞ?」
シンスケさんにそう愚痴をこぼしたら真顔で言い返された。
確かにトウシロウさんは歴史上の英雄『坂田銀時』をリスペクトしてるからあながち冗談でもないけど……。
…っていうか、そもそもなんで僕だけこんな目に遭わなきゃなんないんだよ! ベスとかいうエイリアンに食われそうになったり、返り血べしょべしょに浴びたり!
トウシロウさんはご用改めとかしているニュースを見かけるけどっつーか真選組の仕事はちゃんとするくせになんで本来の任務はサボるんだよ! シンスケさんに至っては煙管吹かして妖しげな笑いを浮かべてるだけでちやほやされてるワケで理不尽だ。馬鹿なのに!
「誰が馬鹿だコラ」
あんただよ! 部下のグラサンミュージシャンが収入いいからってズルイんだよ!
しかも他人(ひと)のモノローグ読むなよ馬鹿のくせに!
怒りに身を任せて馬鹿馬鹿連呼する僕に向かって、しばらくブツブツと「自覚ねェって怖ェ」とかなんとか意味不明なことを呟いていた意味不明な馬鹿は、盛大にため息を吐いたかと思うと疲労したような表情(かお)をした。
全く、ため息吐きたいのはこっちだ。
「俺ァ戦争中、あいつの背中守ってたぜェ? なんもしてねェのはトウシロウだろ」
「あの人の事はもう諦めましたよ。真選組の仕事をきちんとこなしてくれるだけで十分です」
「まぁあいつは史上最強の馬鹿だからなァ」
しみじみと頷き合っていると、ぷりっきゅあぷりっきゅあ♪と、間抜けな音がシンスケさんのポケットから鳴り響いた。
例の馬鹿はまた勝手に他人の着メロいじりやがったようで、シンスケさんはその着メロを聞いた瞬間舌打ちをした。流石、任務のために演じているとはいえ現役の攘夷浪士、迫力がパない。うん、マジでホワタァって感じ。
「もしもし」
『あ、もしもしシンスケか?』
設定音量が大きいのか、僕にも相手の声が聞こえてきた。……嗚呼、馬鹿リーダーだ。
反射的に舌打ちをかましたくなったけど、仮にも奴は上司でしかも地獄耳なので我慢する。偉いぞ自分。
『ちょっと総悟を怒らせちまってよー。逃げてェからシンスケお前総悟の前に姿見せて注意を引き付けといてくれや』
やはり馬鹿リーダーは史上最強の馬鹿でした。
「何!? あのクソガキまた俺のトウシロウにちょっかいかけてやがんのか! 待ってろトウシロウ、今すぐ行く!」
そう叫んで、滅多な事では使うなと上から念を押されている未来の道具(どこ●もドア)を取り出して、トウシロウさんの元に行ってしまったシンスケさん。
たぶんあのバカップル、馬鹿度はいい勝負だと思います。
 ̄ ̄
結局みんな馬鹿