実は俺達…あれなんです。 | ナノ

第一訓+

<天然パーマに悪い奴はいないけどストレートヘアは馬鹿ばっか>


「正しき歴史の流れを守るため!」

「捨て身の覚悟でやって来た、」

「愛と正義の勇者タイムパトロール戦隊…「「肘レンジャー!」」…ってこれ会議前に毎回やる必要あんのかよ」

ため息混じりに呟いた俺のツッコミは馬鹿ふたりの、ぇお前何言ってんの的な視線に黙殺された。
いや、別に俺おかしなこと言ってねェだろ!

「必要なんざ、バリバリあるに決まってるじゃねェか杉ブルー」

「そうですよ、頭大丈夫ですか杉ブルー」

「なんだこれやべぇウゼェ殺してェ。すんません俺が悪かったんで、頼むから黙ってください。トウシロウに……、えっと誰だっけ? メガネ?」

「違ェぞブルー。俺は『土レッド』で、メガネは『めがグレー』だ」

「いや僕メガネじゃないしシンパチだし。ついでに言うと『ぱちグレー』だし」

「あ、ちなみに俺も『土レッド』は『つちレッド』じゃねェからな『ひじレッド』だからな!」

「るせぇ黙れよ馬鹿共がぁ!」


一体なんだっつーんだクソッ。

俺はとにかく馬鹿な馬鹿共とのやり取りに、心の底から疲れはてていた。
……第一、第一だ。今は、定例報告の真っ最中なんじゃねぇのかぁ?

俺――タカスギ・シンスケは、実は、ただの黒幕みたいな感じのラスボスみたいなちょっとアレみたいな攘夷志士なんかじゃあ決してない。
世界をぶっ壊すだぁ? んなわけねぇだろが。寧ろ逆に世界、つーか歴史の流れを正しに来たタイムパトローラーなんだから。いや嘘じゃねぇからホントマジで。

んで、だ。現在俺ぁ、俺と一緒に“未来”から坂田銀時を守るために送り込まれた仲間――愛しのマイハニー、ヒジカタ・トウシロウと、なんかメガネ的なやつ――と日頃の報告をする為の密会に来てるはずなんだ。
それ事態にゃ文句はねェ。
ただひとつ問題なのは、俺以外の二人が馬鹿……いや、メガネはともかくトウシロウの奴は頭はキレるんだが、まぁやっぱり馬鹿で、一向に報告が進まねェってことだ。毎回こんな調子とかマジ死んでくれないかな。あ、勿論メガネ限定で。トウシロウ死んだら俺も死ぬ。
ちなみにこのメガネ野郎、ツッコミ属性だとか“この時代”の奴らに思われてるらしいが、それは単に人見知りして本性が出てねェだけだ。マジ大概馬鹿だからこいつ。親しくなるまでは長ぇが、いったん親しくなると大概なボケ繰り出すようになるからこいつ。

俺もそりゃあマイウェイをランしてる自覚はあるが、こん中じゃ1番まともだ。
あぁ、そうだ! 『俺で』まともな方なんだよこのチームはッッ!
特にマイエンジェルトウシロウなんかはマイウェイどころか道のないところを愉しそうにフライしちまってるからな、ありゃあやべぇ。なんかキメてんじゃねェのってぐれぇ意味分かんねぇ。うん一応恋人なんだがなぁ、俺。


坂田銀時を確実に守るには幕府側と、白夜叉の時期も考慮して攘夷浪士側、あと万事屋を営む時期のために民衆側に別れた方がいいとして、送り込まれた俺達3人は3手に別れた。普段……特に幕府側と攘夷浪士側なんか、容易に接触出来ねェから、漸く取れたこの密会時間はお前ェらが思ってるよりスッゲェ貴重なんぜぇ? ロミ雄とジュリ江の逢瀬時間並に貴重なんだぜトウシロウぉぉぉぉ!
だから俺ぁ最初に万事屋がいいっつったじゃねぇか! てめえが真選組なら俺ぁ万事屋でバイトする役がいいっつったじゃねぇか! 全然てめえと会えねェだろが馬鹿……いや知ってたけど、馬鹿かてめえェェェ!?

松下村塾時代から攘夷戦争終了まで坂田銀時を守るという任務をちゃんとこなしていた俺に、この仕打ちはあんまりじゃね!? 最前線で物資不足な俺に、暇さえあれば『今日近藤さん達とスイカ割りしてなー』だの『今日姉上がアイス買ってきてくれたんですよー』だの連絡寄越しやがって、あ"ぁあぁあ"あぁ"ぁ"あ! 戦時中は余裕なんざなかったんだぞポニーテールのトウシロウ見たかったあぁあぁああぁぁあだから俺ぁ万事屋側がいいっつったじゃねぇかあぁあぁああぁぁあ!

……はぁはぁ、いや待て俺。落ち着け俺。俺まで狂っちまったらこの話どうなると思ってんだ。
ツッコミ不在だ。それはやべぇ。

深呼吸深呼吸。




「あ、やべェ。ドラマの再放送始まるから今日はこれで解散な」

平静を取り戻しつつあった俺の耳に、アディオス! とかなんとか不吉な響きを残して、黒い制服と艶やかな黒髪を翻して去っていくのは、件の馬鹿かっこ世間では『鬼の副長』とかかなり間違った評価をされてるウマシカかっこ閉じる。




「…………って待てやゴラァァァァ!」


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