実は俺達…あれなんです。 | ナノ

第一訓

<天然パーマに悪い奴はいない>


こんにちは、僕、シムラ・シンパチって言います。
“こっちの時代”に合わせて漢字を当て字すると『志村新八』になります。色は灰色ですグレーです。
え、何の話かって? それは追々説明していきます。全部分かりやすく説明しようとすると、必然的にある人の話もしなくちゃいけなくなるんで。つーか出来るなら話したくないんですあの馬鹿リーダー……まぁ僕の今任務における上司のことなんですけどね、のことなんか。
あ、結局、詳しくではないけど話しちゃった。

いえ、そんな事より志村新八、ただいまピンチです。



 *



喫茶店でウェイターっていうかホントはレジ打ちなんだけどとにかくウェイターのアルバイトをして牛乳を運んでいたら、豹みたいな天人に嫌がらせで足を引っかけられた。

なんだコノヤロー、とか思う暇もなく、当然転んだ僕は天人バカヤローに馬鹿にされ、店長には土下座を強要される羽目にはまるワケで、なんかもう世の中の理不尽を嘆きたい。

チクショウ誰のために僕がこんな所に来てると思ってんだ殺すぞ。規則なんて知ったことか本気出すぞホワタァ!
あ、言い忘れてたから知らないだろうけど、僕は本当は結構強いんだからな。
僕の上司の友達の部下の同僚の親戚に飼われているタマがどっかの野良と作った子供に餌をやっていたお婆さんの持ってたスーパーの袋に入った葱を作っている農家のおじさんの甥がハマっている漫画に『海賊王に俺はなる』って言ってカナヅチのくせに海にしかもボートで漕ぎ出していった麦わら帽子がいたけど、彼の1億分の1くらいは強い。
世界観が違うので、ここでは1億分の1でも相当に強いんじゃないかな、と僕は思います。あれ作文? まぁいいや、とにかく舐めんじゃねぇぞこら。

と、半ばぶちギレかけた時だった。


「おい」

そんな声と共に、僕の髪の毛を鷲掴みしていた店長が吹っ飛んだ。

「ギャーギャーギャーギャー、やかましいんだよ発情期ですかコノヤロー」

そこには死んだ魚のような眼をした銀髪の男がなんだか妙に格好つけて立っていた。



 *



ふと我に返った僕は、僕を助けて満足げにスクーターで去っていく彼を必死に追いかけました。といっても、別に木刀を返すためとか罪を擦り付けられた怒りからとかそんなんじゃありませんよ。
彼の名前は坂田銀時。
僕は彼を知っていました。だって“僕らの時代”では、彼は英雄ですヒーローです我らが馬鹿リーダー……あ、冒頭で言ってた僕の今任務における上司のことなんですけどね、が大好きな“歴史上の人物”なんです。

彼はいずれ江戸を、そして侍を救います。

でも、僕らがキャッチした情報によると、その歴史を快く思わない組織が刺客をこの時代に送り込んだそうなんです。
だから僕らは、坂田銀時に気付かれないように坂田銀時を刺客から守らなくちゃならないんです。
そうしないと歴史の流れがああなってこうなるそうなんですスイマセン詳しくは分かりません。


とにかく僕らは坂田銀時を守るために“未来”から来たタイムパトローラーなんです!


 ̄ ̄ ̄
常にこんなテンション


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