第五訓+
<ジジイになってもあだ名で呼び合える友達を作れ。きっといい腐れ縁になる>
おーおー、シンパチの奴必死になって逃げてらァ。
俺は双眼鏡を覗きながら懸命に笑いを噛み殺していた。
「とうとう尻尾出しやがった。山崎、何としても奴らの拠点おさえてこい」
「はいよっ」
無表情を繕って、たぶん『鬼の副長』ならこんな時こう言うんだろうなーってセリフを言う。うん、今のァ結構上手く出来たんじゃねェか?
つーかシンパチのあのびびった顔! あいつ自分が『戌威星大使館爆破事件』の実行犯だと思ってなかったんだろうなプププッ。
まぁ俺も思わなかったけど、驚きよりもまず笑いが先にきたからその辺はどうでもいーや。
テロとくりゃァ真選組の出番だから寝ている総悟をとりあえず起こすことにする。
ホントはもっとパニクるシンパチを見ていてェが、だってほら今『冷静沈着だけど実は熱血な仕事大好き鬼の副長』だからさ俺。
「オイ沖田起きろ」
あ、間違えた。俺総悟って呼んでたハズなのに沖田って呼んじまった。これもそれも面白過ぎるシンパチがいけねェんだ。
まぁ総悟はそんな細けェ事気にしなかったみてェで助かった。一応俺だって『鬼の副長』が演技ってバレねェよう気ィ使ってんだぜ?
さてと、さぁ出陣だ。やっほい燃えるぜ。
「楽しい喧嘩になりそうだ」
呟いた言葉は演技じゃなくてほぼ本心。なんたって俺ァ今からようやく坂田銀時と会えるんだ。初対面はインパクトが大事だから今まで我慢して接触せず、こういう機会を待ってたんだ。
もうやべーよ、ついに来たんだよこれ。俺キてる、今キてる。テンション上がるわー。このまま空飛べる気がするパトラッシュのごとく飛べる気がする。
いっそ窓から飛び出してみよっかなー。
…と、その前にしなきゃいけねェ事がひとつ。
プルルルル、プルルルル、ピッ
「あ、もしもしシンスケー? 貴方のとーしろでェす。俺さァちょっくらパトラッシュになってくるわー」
『そーかそーか今日は何処のアホ星から電波を受信したんだァ?』
「つーか今坂田銀時が戌威星の天人に追いかけられててマジやべーの。だから早くお前も…」
『はんっ、どうせウケるシンパチを見せてェとかの嘘なんだろそれ。その手ァ二度と食うか』
「いや今度はホントだってマジやべーって。まじバッカルコーン!」
『意味わかんねェよ春雨との商談中にぷりきゅあの着メロ鳴り出した俺の身にもなれボケ!』
ブチッ、ツーツーツー…
あ、切りやがったあの野郎。
「ひ、土方…さん…?」
「んだよ今俺の機嫌はサイコーにパトラッシュにバッカルコーンを……って、あ」
振り向いた先にはものっそい驚いて瞳孔までかっ開いている総悟がいた。
しまった……素で喋ってるところ聞かれちまった……。
テ、テヘ☆