第四訓
<第一印象がいい奴にロクな奴はいない>
ぷりっきゅあぷりっきゅあ♪
馬鹿丸出しの着メロが俺のケータイから鳴り響いた。
言っとくがこれは断じて俺の趣味じゃねェ、他人をおちょくることに命をかけるあの馬鹿が勝手に設定したんだ。
しかもあいつは無駄に知識と技術だけはありやがるから、着メロを変えれないようになんかケータイを弄くったらしく、俺は自分のケータイだってのにどーにもならねェ現状を嘆くしかねェ。
「…………」
「…………」
……例え部下の視線がどれだけ痛くとも、だ。
『もしもーし、シンスケ? 俺おれ、こちらオレオレ詐欺ーなんちゃってーッ』
聞こえてきた能天気な声に、衝動的に電源を落とそうと指が動いた。かろうじてそれを我慢したのは声の主が――確かに果てしない馬鹿だが――俺の愛しい愛しい恋人だからだ。
これが巷じゃ『鬼の副長』と呼ばれ恐れられているらしい。全く世間ってのは愚鈍でいけねェ。
あいつァあんなに可愛い奴だってのに……じゃねェ間違えた『あんなに馬鹿だってのに』だ。つい本音が出ちまったぜェ。
と、とにかく皆あいつの演技力に騙されてんだ。
あいつァそりゃ、向こう(未来)でアカデミー賞取った事のある美貌と演技力の持ち主だ。だが同時にあいつバカデミー大賞も受賞した事があるからな、相当な筋金入りの馬鹿だからな?
俺自身も『クールでミステリアスな凶悪テロリスト高杉晋助』っつーキャラを作ってる部分があるが、流石にあいつ程本質とのギャップはない。
「ところでトウシロウお前、俺になんか用か?」
『あー、坂田銀時に組織の幹部が接触したんだ。すぐにシンスケも合流してくれ』
「お前それ早く言えェェェェェ!」
『どぉ? びびった? なァびびった?』
「もうおまちょっと黙れ!」
『でよォ、その幹部の顔がまたウケるんだってプププッ』
「笑い事じゃねェェェェェ!」
俺は、滅多な事では使うなと止められている未来道具のひとつ(ワスレ●ボー)でその場の部下達の記憶を操作し、慌てて現場にワープ(ど●でもドア)した。