お題 | ナノ

雑踏





交差点の雑踏で立ち止まって耳をふさいだ。雑踏というあまりに平凡な世界を超えてみたかった。目は閉じない。音のない世界で私は見た。人々は私のことを迷惑そうに一睨みしたり、見なかったとでもいうように目を逸らしたりと様々な反応を見せるも、一様に私を避けて足早に歩いていった。雑踏を踏んでみたかった。私の私たるなにかが欲しかった。だが結局、私の挑戦は雑踏に踏まれて終わった。








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