「あ、獄寺くんだ」

放課後、いつものように授業のノートを綺麗に書き写したあと帰ろうと思い校門までいくと、壁にもたれかかるように立っている獄寺くんがいた。

「なんだ亜衣かよ…」
「え、何でそんな明らかにがっかりしたような顔!」
「10代目かと思ったんだよ。オレはここで10代目を待ってんだ」

そういえば大体いつも一緒に帰ってるよね。山本くんは部活だから時間は合わないのか。

「綱吉くん、まだ来てないんだ?私も自分自身が遅いほうだとは思ったんだけど」
「ああ、今日は日直だからその日誌を書かれてる。そんなもんオレが代わりにやりますよ!っつったんだけどよ、10代目はお心が広くて…!」

断られたんだなー…。綱吉くんは人を部下や手下のように使ったりは絶対にしないから、自分がやらなきゃいけないことはしっかりやる人だ。
獄寺くんはちょっと大げさにいうこともあるけど、綱吉くんが優しいっていうのは私もわかる。
獄寺くんは携帯を見ながらポチポチ打っていた。メールしてるのかネットを見てるのかはわからないけど、なかなか打つのが速いな。

「あ、そうだ獄寺くん。連絡先交換しない?」

私も自分のバッグから携帯を取り出し、それを見せる。そんなには使っていないけど両親や友人のアドレス、電話番号も少し登録してある。

「はぁ?なんでオレがおまえに連絡先教えなきゃいけねーんだ!」
「だってみんなの連絡先知らないから…」

今はとくに困ったことはないけど、私も含めて獄寺くんたちはボンゴレファミリーというマフィアだ。これから先何が起こるかわからないし、念のために連絡先は知っておいたほうが役に立つと思う。
その訳を話すと獄寺くんは渋々といった感じで私に手を差し出した。

「え?何、握手?」
「ばッ、バカか!握手じゃねーよ!携帯だ携帯!おまえの携帯を渡せってことだよ!」

ああ、そういうことかビックリした。私が獄寺くんに携帯を渡すと、器用にアドレス帳を開いてすばやく文字を打っていく。
…何だろう、獄寺くん、顔が良いからこういうところはすごく絵になるんだけど、眉間にしわを寄せながらだからどうみても携帯に八つ当たりしてる不良にしか見えない。

「ほらよ」

ぶっきらぼうに差し出してきた私の携帯。画面には登録完了のメッセージが出ていた。

「ありがとう!」
「ったく、仕方ねーから登録したけどあんまり連絡すんなよ」
「え、それじゃあ意味ないじゃん!」
「くだらねーことで連絡すんなってことだよ!」
「…そういわれるとしたくなるのが人間というものである」
「わくわくしてんじゃねーよ!」

でもまあこれで連絡には困らなくなったよね。んー、獄寺くんは綱吉くん以外の人には普段からそっけない感じだけど、電話とかメールだとどうなるんだろう?


連絡先教えてよ!

「獄寺くーん、朝だよ!そろそろ遅刻になるから起きてくださーい!!」
《っだあああ!うるせー!さっそくくだらねーことでかけてきやがってこの馬鹿亜衣ー!》

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