07


今日は土曜日。家でのんびりしようと思ったけど沢田くん家で勉強をしようということになり、急遽着替えることになった。最近やたらみんなで勉強してる気がするなあ。

沢田くん家にいき、部屋にはいるとすでに獄寺くんと山本くんがきていた。ちなみにこの前プレゼントされた手帳についてはもらった次の日に二人に話したところ、山本くんは歓迎してくれたが案の定獄寺くんには反対された。
でも決めたのはリボーンくんだということで渋々納得してくれたのだ。獄寺くんとも仲良くできればいいんだけどな。

「にしても桐野がマフィアごっこに興味あるとはなー!」
「え?…ごっこ?」

山本くんの発言に私は首をかしげる。ごっこじゃない、よね?本物のマフィアなんだよね?山本くんは天然なのかな。

「ってことは桐野も仲間ってことだよな?ツナ」
「う、うん。そうだね」
「じゃあずっと苗字呼びなのも距離感あるから名前で呼んでいいか?」

突然の提案に私はギョッとする。名前で呼ばれてもいいのだけど、普段男の子に名前で呼ばれたりとかしないからな…。
とりあえず私が頷くと、山本くんは満面の笑みを浮かべる。山本くんの提案に巻き添えをくらった獄寺くんは「何で俺まで!」と騒いでいるし、沢田くんは最初は戸惑っていたけど、どうやら呼んでくれるそうだ。
でもごめんなさい。私はまだみんなを名前呼びする勇気がないので、今まで通り呼ばせて頂こうと思います…!そんなときだった。

「ガハハハ!ランボさん登場だもんねー!」
「こらランボダメだよ!ツナ兄たちは勉強中なんだから!」
「〜〜〜!」

頭に角が生えてる子と、首にマフラーをしている子、そしててっぺんで三つ編みをしている子が元気よく扉を開けて部屋に入ってきた。

「アホ牛!何しにきやがったてめー!」
「ランボさんはいまいそがしいんだもんねー!邪魔するな獄寺ー!」
「なんだとこのやろー!」
「ああダメ獄寺くん!ダイナマイトはダメー!」
「ぐぴゃああ!」

…な、何が起きているの?巻き添えを食らうといけないと思い、即座に山本くんのところへ避難した。あ、ここ安全。

「ハハハ!ほんとツナん家って面白いのな!」

てんやわんやしている中でも笑顔を絶やさない山本くんはさすがです。

「ん?ランボさんの知らないやつがいるんだもんね!」

そういって私の前にぴょんと飛んできた角の生えた子。突然すぎてもうわけがわからないけど、自己紹介はしたほうがいいよね。

「私は沢田くんと同じクラスの桐野亜衣だよ、よろしくね」
「ふーん?オレッちは、ランボさんだもんねー!」
「〜〜〜!」
「僕はフゥ太!よろしくね、亜衣姉!」

みんなもご丁寧に名前をいってくれた。真ん中の子は、中国語かな?イーピンって単語は聞こえたからそれがきっとこの子の名前なんだろう。

「捕まえたぞアホ牛!」

獄寺くんがランボくんの首根っこを掴んだ。

「ぐぴゃああはなせー!」
「こら暴れんな!」

「うるせーぞ」

ふいに聞こえた声。何だと思う前にグサッという嫌な音が聞こえたと思ったら、なんとランボくんの頭にフォークが。えええ!?なんでフォークが…!
これをやったのはリボーンくんらしい。フォークを投げちゃダメでしょ!と言いたいところだけど、リボーンくんにそんなことを言えないのは何故なんだろう。
またしても叫んで今度こそ泣き出してしまったランボくんは、どこからともなく紫色の筒のようなものを取り出した。

「うわああああん!」
「ああ!ランボそれは…っ!」

ボフンという音とともに部屋中に煙が充満する。な、なにこれ…!なにも見えない。ランボくんは無事なの!?
みんながむせる中でだんだんと煙が晴れていく。ランボくんの無事を確認したくてそちらに目を向ければ、変わらず黒髪がみえるけど角がないような…?

「はぁ…また10年前のオレが迷惑をかけたようですね」

今まで聞いたことのない低くて艶のある声。え、誰…?

「すみません、またこちらに来てしまったようですね」
「いや、いいよ。ランボもランボで大変だよね」

黒髪の人と沢田くんが普通に会話をしている。え、みんな疑問に思うどころか呆れてる顔をしてるけど…あれは、誰なの?しかも、今ランボって…。

「ら、ランボ…くん?」

私はおそるおそる声をかける。さっきまでまだ小さい子供だったはずなのに今は私たちと同じくらいの見た目になっている。まさか、そんなことは…。
私の声にその黒髪の人はこちらに振り向き、パァァと笑顔になって私の方に来た。

「お久しぶりです、若き亜衣さん!10年前のオレがお世話になってます」
「…え?」

私の手を握りながら迫って来たランボくんに私は声を出すので精一杯だった。

「泣き虫だったランボです」
「…ほ、ほんと、に?」
「はい」

…えっと、どういうこと?紫色の筒…あれにあたったら成長したランボくんが出て来た。10年前のっていってたから、この人はもしかして10年後のランボくん?
突然のことに思考が全く追いつかず疑問が浮かぶばかりだった。なんでランボくんがそんなすごいものを持っているんだろう。

「相変わらず亜衣さんは可愛らしいですね」
「…え?」
「10年後も変わらずお綺麗ですが、今の貴女には可愛らしいという言葉がお似合いです。いつもオレに優しくしてくれて、本当に素敵な人ですよ」

な、何これ…私は今口説かれているんでしょうか。それに10年後も私はランボくんと親しいということは、完全にボンゴレの一員になっているということだろうか。10年後の私って何をしているんだろう。
色々頭の中をめぐっているけど、未だに目の前の人がランボくんだなんて信じられないくらいだ。さっき知り合ったばかりだけど獄寺くんと言い争っていた子がいきなり成長して、今私の手を優しく握っている。
そしてさらりと口説いてくるんだもの。"可愛らしい"なんて男の人に言われた事は一度もない。だからこそ私は徐々に顔に熱が集まるのがわかった。

「あ、わ、わ…!」
「おやおや」

私の顔が赤いのがわかったんだろう、ランボくんにクスリと笑われてしまった。もう!何この無駄な色気…!

「…残念ながらそろそろ5分経つようですね。みなさんお騒がせしました。ではまた、亜衣さん」

言うだけ言ってまたボフンという音とともに煙が舞った。

「ランボのくせに生意気だな。またフォークいっとくか」
「やめろよリボーン!また騒がしくなるだろ!?」
「ガハハハ!ランボさんは遊びにいくんだもんねー!」
「あ!ちょっとランボ!待ってよー!」

ランボくんは叫びながら部屋をでていき、フゥ太くんとイーピンちゃんもそれを追いかけていった。

「はぁ…なんかもう勉強どころじゃなくなっちゃったね。ごめんね獄寺くん、山本。せっかく来てくれたのに」
「いえ、10代目の責任ではありません!全てはあのアホ牛が悪いんですよ!」
「賑やかなのはいい事だぜ!」


「…桐野さん、あ、えっと…亜衣、さっきから静かだけど、どうし…あれ?」
「こいつ、さっきから微動だにしないんですよ」
「顔真っ赤だなー大丈夫か?」


07.イケメンに免疫はありません!

「どうしよう!亜衣が真っ赤なままかたまっちゃったよ!」
「ランボのせいだな。あとで締めてくる」
「亜衣、亜衣?しっかりして!ねえってば!」
「10代目!バケツ用意しましょうか?」
「水でもかける気!?」

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