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不運少女の実力テスト



※ IH東京都予選決勝リーグ前

予選トーナメントAブロック優勝をした誠凛高校は、IH出場をかけた最後の戦い決勝リーグに駒を進めた。でも、そんなあたし達に待ち構えていたのは、実力テスト。
学生の本分だった。
それを控えた三日前に集められたバスケ部員は、監督であるリコ先輩に前回行われた中間テストの結果を持って来るように指示された。そして試合にマネージャーとして参加する私も。

「……あ、そっか」

なんで中間テストの結果を持って来いって言ったのか、今週のスケジュールを思い出して納得した私。
向かう途中、一年生の皆と合流した。彼らは何故持って来いと言われのか気付いてないようで、これだと試合が危ないかもしれない、と私は心の中で苦笑を浮かべてしまった。

「確かに実力テストは成績には関係ないわ!けど…ウチの学校は一学年約300人。その順位がはっきり出るのよ」
「そして下位100名には来週土曜に補習。これが問題なんだよ」
「……決勝リーグと見事に重なっているんですよね」
「そ。だから、テスト悪ーと試合行けねーの」

私がそう言えば、頷く二年生の先輩方。一方、黒子くん達は納得をし、焦燥の色を浮かべた。
もし下位100名に入ってしまえば、決勝リーグは苦戦すること間違い無し。特に、黒子くんと火神くんはチームの要的存在。二人が引っ掛かってしまえば、誠凛のIH出場の夢は途絶えてしまう確率が高くなるのだ。

「というわけで!中間テストの結果、見せてもらうわよ!」

そうして突然始まった抜き打ち検査。降旗くん達から始まって、問題の二人と私が残された。

「ま、まずは千遥ちゃんか見ましょ!」
「三反田が赤点に引っ掛かる事なんて、ないよな……」

というか、私の存在に気付いてもらえて良かった…!
絶対に私の存在を忘れられたまま黒子くんや火神くんのを見て終わるかと思ってたから、本当に嬉しい!
ちょっとずれてるかもしれないけど、本当に嬉しかったんだから仕方ない。嬉しさを隠しきれない笑みを浮かべつつ、カントクに渡せば……。

「…え!?うそっ」
「!」
「!?」

二年生は驚きの目で解答用紙を見つめた。
そんなに驚くような点数なのか、と私自身思うことだったけど、皆はそうじゃなかったみたいだ。

「ほ、ほぼ満点じゃない!!」
「な…!」

声高らかに言ったカントクの言葉に、見ていない一年生の皆も一瞬で驚愕の色に。

「す、すごいわ千遥ちゃん…!特に日本史と国語、生物は満点じゃない…!」
「その三教科は、得意ので……。あと化学もまだいけると思います」
「そっか。化学はまだ習ってないんだよな」
「はい」

日本史は前世の時代と似ていることもあって覚えているし、国語は古文だったら問題ない。生物だったら、元保健委員会所属なだけあって、人体や生き物の体の構造とか分かるし、遺伝子なんて内容に興味があったから苦手にはならない。
それもあって、数学と英語以外は満点は取れる。

「でも……」
「?でも…?」
「時々、馬鹿みたいに解答がずれて赤点をとっちゃう事もあるんですよね…。不運すぎますよ………」
『(ああ、ここでも不運な事が起きるんだ…!)』

どよーん、とした空気を纏う私に先輩達がそんな事を思っていることなど、私が知るはずがなかった。
その後、黒子くんと火神くんのテストの結果を見たんだけど、火神くんのはあまりにも酷すぎた結果に先輩達全員で火神くんのテスト対策を行うのだった。
後日、火神くんの実力テストの結果は嘘のように上位100名に入るほどのもので、先輩達は皆声を上げて驚いたのだった。

「火神くん、すごい!」
「いや…でもよ……緑間に負けた気分だ、なんか……」
「そんなことないよ。運も実力のうちだから、気にしないでいいよ!」

だって。

「私の問題用紙だけ印刷ミスしたものだったのか解答がずれてて、今日の放課後に再試験なんだから……」
「なんだそりゃ!!?」
「うぅ…不運だよぉ………」

いつまで経っても不運なのは変わらないみたいだ。
けど、結局。
実力テストは満点だったから、補習を受けずに済んだけどね。

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