成り代わり | ナノ
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個性的な少女達の夏祭り



六年生の最後の夏休みのある日、少女達は思い出を残すため夏祭りに出掛けた。太鼓や笛の音色が聞こえてくる中、少女達は将来の夢や希望を話していた。

「立派な忍者になるんだ!」
「先輩達を越える忍者にな」
「そういえば、先輩達は元気かなぁ」
「元気さ。先輩達は優秀だし、立派に任務を遂行してるさ」
「あの方達が安々と死ぬわけない」
「…そうだな、信じよう!」


戦乱の世、生きるか死ぬかの運命の中、自分達が尊敬する彼らは必ず生きている。
そう信じながら、祭りを楽しむ少女達。
すると、夜空に咲く大輪の花。

「……来年も、」
「ん?」
「来年も、また皆で行こう」
「…来年だけなのか?」
「え?」
「違うだろ」
「来年だけじゃない。再来年も、五年後も、十年後もだ」
「大人になっても、ババアになっても」
「こうやって、また皆で集まって花火を見に行こう」


それは約束であり誓いだった。

「……うん」
「そうだな!」
「…おぅ」
「…生まれ変わっても、ね」
「…あぁ」


咲いては散りゆく大輪の花々。
綺麗に咲いて、散っていく光景はセツナクテ…



少女達の夏は終わった。

「…ありが、とう」

少女は心から言った。
とても幸せそうに。
だからこそ、傍にいた少女も笑顔で伝える。

「…こっち、こそ…ありがと…」

忍に涙は要らない。
忍に感情は必要ない。
忍は常に死と隣り合わせ。
どれだけ、それが辛いことなのか。

「…また、見よう…ね、」
「…うん、そうだね…」

幸せそうに笑って逝く少女。傍にいた少女も、だんだんと視界がボヤけていく。
そろそろ、私もそっちに行──くね。

「今度、は…」

願わくば、戦のない平和な世界で。
それは、少女達が皆と袂を別れて十年後の八月終わりのことだった。


イメージ曲:「secret summer〜君がくれたもの〜」

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