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02



「乱太郎〜っ!雷蔵が怪我をした〜!」
「私も〜!」
「…ハァ」

壁から落ちた砲弾が余計な被害を撒き散らした。小平太がバレーと同じ様にアタックをしようとして手首を骨折。その後転がった砲弾は雷蔵の頭の落下した。
変装の面がはがれそうなほど動揺した三郎に手を引っ張られ救護所に向かう雷蔵の後を、小平太も手首を抑えながらついていく。
砲弾からの被害を最低限にした恭弥とすれ違い、恭弥は三郎の動揺さと小平太の自業自得に呆れて溜め息を吐いた。が、直ぐに切り替えて忍たま達に言った。

「怪我した子は早く救護所に行きなよ。怪我したまま此所に居ても邪魔なだけだ」
「そ、そうだ…!!ま、松千代先生!お怪我は…!!」
「は、恥ずかしいぃぃ…!!」
「…無理矢理でも連れて行きなよ」
「は、はい!」

恭弥は面倒だと言わんばかりの表情で作兵衛に言えば、作兵衛は藤内と一緒に松千代先生を無理矢理であるが救護所へと向かわせた。恭弥は学級委員長らしく、他の忍たま達にも軽くだが指示をする。
そんな光景を苦笑いで見る土井先生だったが、照星に「それはさて置き」と話を換えられ、「さて置くんですね…」とつい突っ込んでしまった。

「砲身が熱くなったのでしょう。冷めるまで砲撃が止みます」
「うむ。その間に跳弾を止める手立てを取らねば」

虎若の父の言葉に頷き、照星は虎若を見た。

「若太夫」
「は、はい!」
「砲弾を跳ねさせなくするにはどうしたらいい?」
「は、はい、えーとぉ……」

照星に聞かれ、返事をしては見たものの、どうしていいかわからず虎若は俯いてしまう。それを見ていた恭弥は、瞬時に照星の問いの意味を理解した。そして自分の近くで避難していた仙蔵に尋ねた。

「留三郎達用具委員会に持たせてきたのはアレかい?」
「ん?あぁ。何かに使えると思ったからな」
「…留三郎、二度と運ばないって言ってたよ」
「帰りもあるというのに、アホだな」

仙蔵の言葉はすでに恭弥が昨日留三郎に言った言葉でもあった。

「持ってきて正解だったな…」
「そうだね。…配置した場所は?」
「アレは上の池の傍に配置した」
「…そう。なら、コレは君と長次に任せるよ」

何を、と言うまでも無かった。仙蔵も虎若達の話に耳をそばだてて聞いていたからだ。何かをきっかけに思いついた虎若は三木ヱ門にユリコの拝借を頼んだ。

「みんな、手伝ってくれ!」
「う、うん!」

走り出す虎若の後を、慌ててきり丸達が追いかける。

「火薬委員!」

尻餅をついたままの土井先生の声で、兵助達火薬委員会もすぐに虎若の後を追った。

「どうするの?!」
「砲弾は、泥のぬかるみに弱いんだ!だから、上の池の堤を砲弾でぶっ壊して村の前の草地を水浸しにする!手潟さんに伝えてくれ!」
「応!」

虎若に頼まれ、団蔵は手潟さんの屋敷へと駆けていった。それと交代で虎若に追い付いたのは仙蔵と長次だった。

「我々も協力するぞ」
「先輩!」

自分の考えた作戦に不安だった虎若は、先輩二人の協力は心強く感じた。

「…あっちは上手くいくね」

予想ではなく確信。
恭弥は小さく呟き、事の様子を見送った。


***


一方、救護所では先ほどの弾丸で怪我を負った者達が手当を受けていた。

「乱太郎、ありがとう!行ってくる!」

先に手当てを済ませた小平太と佐武衆の隊員が颯爽と外へ飛び出して行った。

「無茶しないでくださいねぇ!」

雷蔵の手当てをしながら小平太に声を掛けた乱太郎だったが、すぐにまた逃げようとした松千代に飛びついた。

「松千代先生!生徒を守って怪我をしたんだから、恥ずかしがることないです!」

こちらはこちらで大変だった。

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