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「#幼馴染」のBL小説を読む
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01



「ふぁ〜あ…」

翌朝、忍たま達はそれぞれ指定された場所に待機した。恭弥も山田先生に言われたが、いつもの如く「僕に指図するな」と言い群れからそう遠くない民家の屋根で寝転がっていた。
その他の、佐武鉄砲隊と三年生以上の上級生、火薬委員、そして種子島の薬込み役を申し出た虎若が昨日竹を間渡にした柵を盾にした最前線に。一、二年生は蛸壷の近くに建てた竹束の陰で様子を伺っていた。
そんな中、昨日からペットのジュンコを飼っている三年い組の伊賀崎孫兵は「ジュンコ〜…」とだらしない声をあげながら落ち着きが無かった。
固唾を呑み、タソガレドキ軍の様子を伺っていた時だった。

…ドーンッ

砲弾が放たれた。

「届かない!」

真剣に弾を見ている中、四年ろ組の田村三木ヱ門は叫んだ。
しかし、

「伏せぇーッ!!」
「え?!」

虎若の父が叫び、照星が三木ヱ門を押して避けた。
瞬間、砲弾は草地を数回バウンドし威力を増して、忍たま達へ襲いかかった。砲弾は柵を突き破り、真っ直ぐに斜堂先生へ向かい(華麗に避けたが)、一年い、ろ組へ向かって行った。

「……へぇ、」

恭弥は一番安全でもあった屋根の上で小さく感嘆の声を洩らした。一方、回避した忍たま達は土井先生の指示を受けていた。

「届いた…。草地でバウンドして…」

三木ヱ門は草地の方を向き、驚き呟いた。


***


その頃、一発目の砲弾は壁を破り壊し、高く弧を描き、奥の御堂へ転がる。昨晩壊れた階段の代わりに置かれた板を昇り、砲弾は御堂の中へ入ろうとした。
しかし、其の砲弾は止められる。
陽射しに照らされ、逆光に輝く眼鏡。少年は手に持っていた頭巾を持ち上げた。

「皆の怪我は…、」

頭巾を頭に結び、前を見据えた少年。

「私が治す!!」

少年──乱太郎は大きな声で決意表明をした。


***


ドーン、とまた大砲が鳴る。
呆然としている場合ではなかった忍たま達は、虎若の父の「退避ーッ!!」という命令にそれぞれ蛸壺に入り避難した。皆が避難している中、恭弥は屋根でまた小さく欠伸をしていた。
その姿に三郎は目を丸くし、慌てて声を掛けた。

「ちょ、恭弥先輩?!貴方何してるんですかッ!?危ないですよ!」
「君達みたいに柔じゃ無い」
「だからって其処に居ても危ないですよ!」
「オイ恭弥!!何しとるんだ、バカタレ!早く来いッ!!」
「ヤダ」

即答だった。その間にも数弾、砲弾が飛んでくる。間を空け、文次郎が「何でだよ?!」と尋ねれば…、

「群れたくないから」

キッパリと、恭弥は真っ直ぐと前を見据え答えたのだった。
恭弥の返答に半分納得し、半分呆れていると、油断していたのか、竹谷の真ん前に砲弾が降って来た。

「僕の事は構うな。君達は、自分の身を守ってるだけでいいよ」

そう言って恭弥は屋根から降りた。瞬間、恭弥の居た場所に砲弾が擦った。
それを予期して居たのか、恭弥は無表情で群れから遠ざかる。しかし、彼は一瞬で恐怖で固まっていた一年い組の前に立ったかと思えば、

ガキィンッ!!

「なっ…!?」
「……マジか」
「っ、恭弥、先ぱ…」

恭弥がトンファーでい組の子達に当たるはずの砲弾を防いだのだった。砲弾はその場に沈み、恭弥はトンファーを降ろし、い組を見た。

「早く避難しなよ、怪我をしたくなかったらね」
「は、はい!」
「…彦四郎、君もだよ」
「っ、はい!!」

い組は各々礼を言い、傍の蛸壺へ。恭弥はと言うと、まだ降りかかる砲弾をトンファーで弾き返していた。
ろ組に当たりそうになった弾や、手潟さんが居る屋敷に当たりそうになった弾等、被害を最小限にしたのだった。

「威力のある砲弾をトンファーで止める恭弥先輩も凄いけど…」
『(全く曲がってないトンファーってなんなんだ)』

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