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04



思わず昆奈門は立ち止まる。好戦的な目で自分を見る恭弥に、昆奈門は小さく溜め息を吐き疑うように彼を見た。

「何がまた会ったね、なの…。君、私が来るの分かってたでしょ」
「さぁ、何の事かな」
「白々しいね…」

伊作に一ヶ月前の礼とこの戦に不参加する旨だけを伝えに来ただけの昆奈門だが、油断していたのか、最後に恭弥に会うのは想定外だった。恭弥は昆奈門の視線を痛くも痒いとも感じず、飄々とした態度であった。
流石、孤高の浮き雲と言われるだけはある。
つい、昆奈門はそう思った。

「…それで?恭弥君は私に何の用があって此処で待ってたの」
「待っていた訳じゃないけど、其処には触れないでおくよ。…貴方への用事はただ一つ」
「!」

ガキィンッ!!

「ッ……!!」
「貴方と殺り合う為に来た」

重たい一撃だった。咄嗟にクナイでトンファーの攻撃を防いだが、少しだけ腕が痺れた感覚があった。恭弥は小さく笑い、二撃目を与えようとするが、それも昆奈門は防いだ。
互角ではあったが、昆奈門は流れるように一旦退き、恭弥と距離を置いた。

「殺り合うって…、私は君とは戦いたくないんだけど」
「安心しなよ。そんな生温い考えは無くしてあげるからね」

懐に入るように恭弥は素早く駆ける。それに何とか目で追えた昆奈門は目の前に来たトンファーを懐にあった鎖で止めた。

「ワォ、そんな武器もあったんだ」
「これでも、忍者隊組頭…なんだけど…!!」
「そう。…だからこそ、貴方と殺り合いたいのさ」
「!」

もう片方のトンファーで鎖を壊し、恭弥は隙をついて彼の鳩尾へ一発当てた。感触もあり、ニヤリと恭弥は笑う。

「こんなものかい?忍者隊組頭の実力、」

視界の端で光モノが自分目掛けて降り下ろされた。間一髪で避け、恭弥は後退する。
避けきれなかったのか、頬に切傷が生まれ血が滴り落ちる。

「…ワォ」

昆奈門を見れば、その手にはクナイとは別に小太刀が。
どうやらさきの一太刀はそれで攻撃したようだ。
逆手に小太刀を持った昆奈門は、本気になったのか分からないが、恭弥に隙を見せないように構えたのだった。

「あまり、舐めてもらっては困る」
「……。そうこないとね」

血を拭い、恭弥は駆けた。昆奈門も本気を出したのか、目を鋭くし集中力を高まらせ、恭弥の動きを逃さない。真正面からやって来る恭弥に昆奈門も飛躍して回避すると同時にクナイを放つ。それをものともしないで簡単に弾く恭弥。

「この程度かい?」
「フッ…」

恭弥の挑発に乗らず、不敵に笑う昆奈門。
流石は雲雀恭弥。噂以上の強者だ。
一瞬の隙を見せず、好機を逃さない、捕食者のような視線が伝わって来る。こちらが隙を見せれば、直ぐに獰猛な牙の如くトンファーを降り下ろすのだろう。
そうはさせん。
今度は、昆奈門から攻撃を仕掛けた。昆奈門は恭弥から離れる為木の上へ跳躍した。逃げるつもりなのか、と恭弥も近寄ろうとしたが…

「!!」

出来なかった。

「…撒菱」
「暗いのに、よく分かったね」
「……僕を舐めないでくれる?」
「それ、私と同じセリフだよ」

自身の周りに撒かれている撒菱に気付き恭弥は小さく舌打ちをした。昆奈門は笑い、恭弥を見下ろす。

「どうする?まだ私と殺り合うつもりか?」
「……」

自分を殺気を込めて睨み付ける恭弥に挑発するように言った。それにムッと来たのか、恭弥は撒菱が撒かれているのにその場で構えた。
その体勢に昆奈門は目を丸くした。

「君、あまり僕を馬鹿にし過ぎると」

──まさか、

「咬み殺すよ」

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