▼ JKだ、JK
「……」
『………』
数分して、彼等は帰ってきた。
そして待ち構っていたの般若のような顔をしたあたし。
「…言い残す事は?」
『ごめんなさい』
間髪入れずに返ってきた言葉にあたしは溜息を零した。その小さな動作だけでも彼等は肩をビクつかせた。
ビビりすぎじゃね?
「…好奇心旺盛とでもいうのでしょうかね、家を歩き回るなど言語道断です」
「し、しかしだね委員長。この屋敷には妖怪が…」
「本日奴良くんの家に来たのは何でしたか?」
清継くんの言葉を遮ってあたしは彼らに尋ねた。あ、リクオはあたしの後ろに居るように頼みましたよ?だって彼を怒る必要なんてないじゃないですか。
彼は被害者ですよ。
「よ、妖怪会議を…」
「でしたら動き回る必要などないではありませんか。会議は一室で行うことですよ。動き回って会議など存在しません」
「け、けど此処には妖怪が…」
「その言い方は奴良くんに失礼です。だいたい、清継くん。あなたは一体何様ですか?奴良家に入ったときからその傲慢な振る舞い。他人の家にお邪魔するときは礼儀正しくすることが当たり前です、常識です」
凄みを利かせて言えば、清継くんは黙った。周りはといえば「清継くんを黙らせた!」とでも思っていた。
お前等失礼すぎだ。
「それと花開院さん」
「は、はいぃぃい!!!」
おい、どんだけ怖がってんだ。あたしが話し掛けただけでそんなに驚いてから。
鬼みたいな顔でもしてるのかしら?
「無闇に人様の家を歩き回るのではありません」
「せ、せやけど…妖気が…」
「陰陽師としての使命感があるのは分かります。しかし、依頼を任されてもいないのに人様の家を歩き回るのは人としておかしいのでは?陰陽師と依頼主が繋ぐのは信頼関係です。あなたから壊してしまうのはいけないのでは?」
「そ、そうやった…」
いつも比較的穏やかな私が静かに怒っていることに驚き、皆こちらを見つめて固まっている。清継君に至っては暗いオーラを背負って落ち込んでいるし…。
しまった…、中学生相手に言い過ぎたかな…。
これでは先に進めない。雰囲気を変えるために今度は明るい声で話す。
「まぁ、過ぎた事を今言っても心地よいとはいえませんよね。さぁ、仕切りなおして妖怪会議をしましょう」
パンパン、と手を叩いて彼等をそれぞれ座らせて自分も座る。すると、隣にいたリクオが耳打ちで話し掛けてきた。
「委員長、ありがとう。ちょっと困ってたから…」
「いえ。しかし、もう過ぎてしまった事を言ったので後味が悪そうです…。雰囲気を台無しにしてしまってすみません…。しかも偉そうに言ってしまって…」
人として酷いですよね…、最後に呟くように行ったのを、彼は聞こえていたようだった。
「たしかに委員長があんな風に怒るとは思わなかったよ。けど、ちゃんとはっきり言う姿は素敵だったよ!」
そう、まるで姉さんのように…。
リクオの本心は分からない。けど、あたしはそれだけでもとっても嬉しくて…。
「そっか…」
つい、笑みが零れてしまった。その後、原作通りに神無と爺やがぬらりくらりと現れてあたしの存在に眼を丸くしながらもリクオをよろしくと頼まれた。神無はあたしを見て近寄ろうとしたみたいだけど、リクオに止められていた。
「ひ、」
「神無」
「!」
あたしも、神無に近寄りたかった。けど、やっぱり死んだ身だしそう簡単に会う事は出来ないようだった。
あたしがどんな姿形であろうと、リクオを守るという約束は破りませんよ、爺や。
奴良家訪問
(若ー、若ー)
(何?)
(緋真様が居ましたよね、あの中に!)
(はぁ?それって委員長の事?彼女は違うよ、彼女はお姉ちゃんじゃないよ)
(にしても、似すぎだとは思わないのかい?リクオ)
(本当に、な…)
(と、父さん!燈影!?)
(ホント、見間違えるほどな…(緋真…))
(心臓に悪かったけど…。皆が元気で安心した、ホント…)
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