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「#幼馴染」のBL小説を読む
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▼ 三人の個性

此処に来る前に敵を倒した時の眩しさ。あれはきっと、カカシ先生の個性なのだろう。それに加えて、イタチの個性はすごいだなんだというんだから、気になってもおかしくないだろう。

「…三人の個性って、何なんだ?」

前世に活躍した三人の個性がいったい何なのか。
質問すると、三人は目を一瞬だけ輝かせた。俺の気のせいかと思ったけど、気のせいじゃなかった。
めっちゃキラキラしてる。え、もしかして、言いたかったのか?言いたくて、イタチの個性を例えにしたの?あのまま俺がスルーしてたらどうしてたんだよ。
ツッコミしたくなるほどの反応を見せた三人から、まずは教えてくれたのはカカシ先生だった。

「俺の個性は雷です。体内から雷を生成できますし、天気をも操ることが可能です」
「なにそれ、強すぎだろ」
「いやぁ、その分貯めておかないといけませんよ。じゃないと、最長一週間は使い物になりませんから」
「振れ幅デカすぎ」

やはり、と言ったらいいのか分からない。でも、同級生の上鳴とは違って、天候を操ることもできるというのは凄いことだろう。天候といっても、稲妻を招来することらしいが。
ん?じゃあもしかして……。

「……“雷切”も?」
「もちろん、できますヨ」
「デスヨネー」

間髪入れずに答えられた。だよなー、個性が雷ってことは、あの頃カカシ先生が編み出した忍術も使えるって事だよね。雷切、もとい千鳥。雷を切ったという伝説があって、雷切と言われるようになった術。
それが使えるとなれば、カカシ先生ったらすっげぇ強いじゃん。
そう思っていた俺にカカシ先生は困ったように眉を下げて「俺よりもイタチとテンゾウがすごいですよ」と言った。その言葉に、俺は二人へ目を向けた。

「特に、イタチなんてドラフト指名は圧倒的一位だったし、就活じゃあ色んな所から誘われてたからネ」
「え、そんなに?」

カカシ先生の言葉が半信半疑な俺は、まずはイタチに聞こうとした。が、ふとイタチの瞳を見て思い出した。

「眼に勾玉みてぇな模様が浮かんで、その眼の色はは紅いんだよ」

消さんが言っていた言葉を。

「…もしかして」

俺の声は震えていた。それに気付かないイタチじゃなく、困ったように笑って教えてくれた。

「俺の個性は、瞳術です」
「……まさかの…?」
「はい。うちは一族の血継限界である写輪眼が使えます」

一度瞬きをしたイタチの瞳は、紅く勾玉模様が浮かんでいた。
ああ、うん、チートだな。
血継限界が個性とか、個性の扱い慣れてるも同然じゃん。もうどんなリアクションを取ればいいのか分からなくなっているが、まだもう一人聞いていなかった。でもさ、聞かなくても分かるくね?
ヤマト隊長を見ると、ニコリと笑っていた。

「僕の個性は木遁です。主にサポートで、敵を捕縛したりしてるよ」
「…見事にそのまんまじゃん」

そう言ってしまった俺は悪くない。というか、三人も思っていたのだろう、苦笑を浮かべていた。大人が参った参った、みたいに言っても面白くもなんともないっての。

「それにしても、アレだな。見事に三人一組の編成だな」
「えぇ。厄介な敵だったとしても、イタチの写輪眼があれば昏睡状態にして捕縛も出来ますしね」
「敵なしだな」

同い年じゃなくてある意味良かったかもしれないな。いや、でも消さんがカカシ先生と同期だって言ってたよな?つまりは雄英体育祭でカカシ先生と戦ったかもしれないって事になる。
え、見てみたかった。
そんな俺を放って、カカシ先生は「ちなみに」と口を開けた。

「俺とイタチは雄英高校卒業生ですよ」
「え、そーなの?…あれ、でもヤマト隊長は何処なの?」
「僕は、地元の傑物学園高校です。雄英は親が反対して…士傑もいいかなとは思ったんだけど、あそこの校風は俺とは合わなかったから…」

ヤマト隊長が卒業した学校とか知らないんですけど。
え、そんなに有名なのか?士傑もいいかなって…士傑って何処だよ。校風とか知らないから。

「(俺ってば、消さんがいるからって理由で雄英選んだから全然しらねーわ……)」

もう少し他校の事も調べておけば良かったかもな。
何を今さら、なんて感じだけど仕方ないだろ。消さんの家に居候してれば、雄英の事しか情報入ってこねーんだからよ。他校を受験してみようかとか言ったこと無いが、言ったとしても消さんに否定されそうだわ。
まぁ、そんな事は置いておいて…。三人の個性がどんなものなのかを知って、俺の個性のことを聞こうと思ったが……やめた。

「どーせ体育祭を見てたから、言わなくてもいいですよね?」
「えぇ。あの頃と変わりない戦い方でしたね」

あっさり頷いたカカシ先生は、だから指名したのだと言った。準決勝まで進んで、あんな戦いをしたらもしかして、という可能性から確信になるはずだ。

「いやー。それにしても、有名になってましたね」
「うっせ」

体育祭後に色んな人から声を掛けられた事を思い出し、冷たく言ってしまった。そんな事はお見通しのカカシ先生は何も言わない。すると、イタチが感心したように言った。

「ですが、流石でしたね。圧倒的な実力を見せていて、圧巻しました」
「元総隊長ともなれば、流石としかいえないか」
「けど、終わり方は気になりました。…なにかあったのか?」

突然、先生として俺に尋ねたカカシ先生に驚く。けど、気にしてしまうのも無理もない事だ。あの時の事を思い出して、俺は失笑を浮かべた。

「…どっかの負けず嫌いたちと同じ目をしてたから、ついお先にゲームオーバーさせてもらったんだよ」

三人とも、誰かを思い浮かべたようで遅れて返ってきた反応は苦笑だった。カカシ先生も「ア、ハハ…なるほど」となんとも言えない表情を浮かべていた。

「ま!それじゃあ、今からパトロールにでも行きますか」
「!」

カカシ先生の言葉に、今度は俺が目を輝かせた。ようやく、ヒーローの実務を間近で見れる。ヒーロー志望であるからこそ、期待してしまう。
イタチとヤマト隊長はカカシ先生の言葉に返事をして、それぞれ準備に取り掛かった。何か手伝うことはあるか?と尋ねるが、カカシ先生は「君はなにもしなくていーの」と首を横に振ったのだった。

「…そういえば、カケル」
「ぇ、なんですか?」
「相澤くんとは知り合いなのか?」

その言葉にピクリと手が一瞬動いたが、カカシ先生からは見えなかった。

「まぁ、相澤先生は俺の担任ですからね」
「…そう、ですか……」

カカシ先生の言葉から消さんの名前が出るとは思わなくて驚いたが、それ以上言及はされなかったことに安心した。

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