友人のリク。マルコの女体化。
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生きてる限り、恋愛は必要不可欠だと思う。恋愛をしていない期間を考えられないし、十代になってから、あたしの傍らには常に男の影が絶えないと友達に言われるけどそれは事実だし。本当に、肥料が必要な花と同じで、自身を育てる養分みたいだもの。
飽きっぽいあたしは、しょっちゅう男を変えている。色事に飢えは来ない。その間は幸福だし、楽しいから。時々、あたしを恨んでストーカーになる奴がいるけれど、いつも彼氏がボディガードになってくれる。あたしは恵まれているのだと思っていた。
それはまだ、あたしが恋愛をしていた頃の話。そう言うくらいだから今は止めてしまった。単に言えば、今までの好きは、上手く言えないけど、好きじゃなかったのだ。かと言って、嫌いかって言うとまるで違うのだけど。
あたしは片思いをしたことがなかった。楽しくて苦しい、切なくて嬉しい。本当の好きっていうのは、多分こういうことなのだろう。良く分からない感情ばかり浮き沈みする。もうお手上げ。
「マルタ?」
「…先生、久し振りじゃん!」
そんなことを考えているあたしの前に合わせたように現れるなんて、あなたはあたしの心でも読めるの?って聞きたくなる。ただ、その優しい笑顔はあたしだけのものじゃない。誰にでも向けているのでしょう?それを思うと上手く笑えない。こういう感覚初めてだから、どうしたら良いかわからない。だから、できるだけ考えないように努力してる。
「お前変わらないな」
「先生も変わらないよ」
たわいのない会話でも幸せ。にんまり顔のあたしを、彼はどう思っているのだろう。優しく撫でてくる大きな手のひらは妹とかそういう感覚な気がする。今はそれでも良いやって受け入れちゃうあたしは馬鹿な女だ。そうこうしている間に、先生が誰かと一緒になっちゃう予感はあるのに。
先生は、あたしがそう呼んでいるだけで、本当に先生をしているワケじゃない。眼鏡が良く似合う優男。今までに付き合ったことが無いタイプの男性。それに加えて、アドリブも利く機転の良い面白い人。あたしにないものを沢山持っていた。興味を抱いたのはそこからで、まさか好きになるとは思っていなかった位だもの。
「あれ」
「ん、何?」
「彼氏と一緒じゃないんだね」
不思議そうな顔をする彼にあたしはどう対応したら良いのかわからない。とりあえず「何ででしょう?」とか言って、笑ってはぐらかすことを試みる。好きな男を想ってフリーという事実を伝えてしまえば良いのに、可愛くないプライドがそれを邪魔した。
「いないなら、今日はマルタを独り占め出来るな」
そういう甘ったるいジョークは反則だよ。嬉しくて、顔がニヤニヤしちゃう。俯いたあたしを「照れてるの?」とからかう声はムカつくけど、惚れた弱みってヤツで許してる自分がいる。
それが全部嘘でもあたしは幸せ。

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