日当たりの悪いダイニングルームには朝食を用意するロゼオの姿がある。マフィンを半分に切って、ミルクをカップに注ぐ。オーブントースターにマフィンを突っ込み、焼き上がるまでの間に冷蔵庫からバターを取り出す。点けられたテレビの向こう側では、何処かの国の成功者がインタビューを受けている。黒目がちな双眸は眉間に皺を寄せてミルクは喉を滑る。
焼き上がりを告げる音にコップをテーブルに置く。香ばしい香りは腹を空かせた体には堪らなく良い匂いに感じるものだ。バターを塗ったマフィンをかじりながら、先程見たインタビューについて考えてみる。真っ黒な瞳は底なしの闇を放つように沈む思考を呼び起こす。

最初は平均的なサラリーマンから始めてみる。俺はサラリーマン人生を約十年経てキャリアになる。昇格の言葉を聞いて俺はとても喜ぶ。そこから少しずつ給料も変わってくる。今しているのはサッカーとバイト。サッカーを俺は人より少し上手いくらいでそこまで才能はない。だから楽しめるうちに楽しんでおく。人並みより少し上って言うのは結局の所中の上ってだけの話だ。バイトはこれからもう少し増やそうかなんて考えている。貯金も増えるし、楽しいとは思えないけどやりがいはある。将来のためだと思えば何ら苦にもしない。

テレビを睨みつけるロゼオのマフィンをかじる口の端は歪められていた。


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