こっぱずかしい
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「大丈夫、ちゃんと俺がリードする」
家具はそんなに多くもない部屋で、男は微笑みかける。髪色と同じ緑色のシーツを敷いたベッドが軋む。
男は労るように髪を撫でつけると耳にキスを落とした。びくりと体を震わせて、耳にかかっていた白銀は頬に流れる。さらさらとした白銀の髪にもキスを落とす。ゆったりとした余裕のある触らばいは、強く抱き締められたりするより余程熱を帯びさせる。される側は堪らない。抱いてしまった劣情に気づかれまいと口に溜まった唾液を嚥下する。その音が男に聞こえているとも知らず。
「興奮してるんだ?」
耳朶に唇を寄せて囁かれ、息を詰める。肯定でもするかのように熱い吐息が零れる。
否定の言葉を返すこともできず、目に涙を溜めて赤面した。反応するつもりなんてなかった。けれどもそんなこと言えば、またどうにかして男は自分をからかって辱めるだろうことを想定していたため、男の胸に顔を押し付けた。男の胸は薄く筋肉がついているのが布越しでもわかる。温かいよりか少し熱い体は強張っているようで、やさしく抱き締めてきたかと思ったら鼓動が慌ただしく鳴っていることに気がついた。
「ベルディオも興奮しているのか?」
顔を押し付けているから、鼓動が一気に跳ね上がったのがわかる。
「こういうことはやりなれているのではなかったのか」
彼の太ももに手を置いて顔をあげると、困惑と照れ笑いが混在したような表情でこっちを見ていた。目が合うと目線を逸らされた。恥ずかしいのは自分だけではないことに気づかされて照れくさくなる。
「そこでその話を出すなよ」
あくまで今の相手はお前なんだからと笑って、目元にキスを落とす。優しく触れられてくすぐったいような恥ずかしいような気持ちに見舞われる。喉の奥が熱くなって、胸が締め付けられるような感覚に陥る。恥ずかしい。けど、やめて欲しくない。はぐらかされていることなんてどうでも良くなる。
「ベルディオ…」
かすれた声で彼の名を呼び胸にしがみつく。自分の甘えた声には嫌気が差した。目の端から熱いものが伝う。自分が恥ずかしくなって逃げ出したいと思った。
熱を追いかけるように彼の舌が頬を滑る。首に息がかかって肩が震えてしまう。劣情が再び溢れ出る。
「キス、」
首を這っていた舌は言い終える前に口を塞いだ。


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(結論:ゲロ甘が原因)

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