あの時消えるべきだったのは僕であってアツヤじゃない。アツヤは本当なら生きているはずだったんだ。だから僕はアツヤにこの体を捧げてしまおうと思う。この体をアツヤのものに、僕は“死のう”と思う。どうして僕がそう考えたのかと言うと、アツヤは僕の中であるにしろまだ生きているからだ。二人が一つの身体で共存することは、僕にも彼にも負担になっていて、お互いに本来の自分を明確に自覚することが不可能になっている。要はこの際、一人が消えてしまえば、その不可能は可能になる。だったら僕が消えてしまえば良いと考えたのだ。
けれど、どうしてかその案はアツヤに反対されてしまう。自分を持つための最善の方法を考えたのに恩知らずな奴だなぁと思いながらも、実の弟のことだからそんなワガママも可愛い。それでも僕はアツヤのために体をあげた。

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