ポニッシュには至らず(GO雷門/日常)

霧野と狩屋で、俺が認めないことを会話させたら案の定俺だった。
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「俺、神童がボブカットとか認めねえよ!自分がおさげなのは認めるけどさぁ」
「認めるんですか」
「だってこれ自分でやったし」
「自分でやったんですか。余計女と間違えられる可能性が高まることを考えなかったワケじゃないでしょうに」
「狩屋はこの髪型の楽さ加減を知らないからそう言えるんだ!」おさげ持ってグッ
「いや、この先も知る予定ないんすけど」
「狩屋はポニーテールが如何に難しいか知っているのか…!」拳握りしめてブルブル
「いや、知る必要ないんで知らなi」
「詰まりそう言うことなんだよ!」ガッ
「ちょ、何するんですか!?やめてくださ…やめろ!」
「今お前でポニーテールを作ってやろうと思ってな」ガシガシッ
「いた…痛えよ霧野!乱雑に髪を引っ張るんじゃねえ!」涙目
「体験してみた方が早いだろ?ポニーテール」グッ
「ふざ、ふざけ…」
「それともおさげがいいか?」
「ポニーテールが良いです!百歩譲ってポニーテールが良いです先輩!」
「よし、今おさげにしてやるからな〜」
「有無を言わせないなアンタは!や…やめろおおぉぉぉぉぉ!」



「驚いた。他人の髪を結う分にはポニーテールもできるじゃん」
「ちょっと…お願いだから緩めて…。顔が引きつる」キリキリ
「へいへい」グッ
「あー、マジ幾分楽になりました」
「狩屋こっち向いてー」
「なんすか…」
「もっとシャキッとしろシャキッと」
「生まれてこの方髪を縛ったことねえ俺に何を言うかな?」
「ああそれ疲労なの?狩屋それ疲労なの?」
「ニヤニヤすんな。潰すぞ」
「お前丁度髪色青だから風丸さんみたいだな」
「ちょっと嬉しいこと言ってんじゃねえ」
「嬉しそうな顔だね狩屋くん。皆に言い触らそうか」
「や…やめろ!」
「俺も風丸さんみたいなプレイヤーになりたいと一時期思ってたんだ」
「それでポニーテールすか。てか結局ポニーテールにしてくれて、アンタは嘘つきか」
「いや、当初の予定にお前の髪を結うことなんてなかった」
「…次いでか!」
「兎に角、自分自身のやるのと他人のをやるのは違うみたいだ」
「他の人に頼んでやってもらえば良いんじゃないですか?」
「ポニーテールってうつ伏せ寝するにも重いし、頭が浮いて仰向けに寝れないし、どちらにせよ勝手が悪いんだよね」
「そっちの利点を追求したのかアンタは」
「それに比べ、重さが分散されるおさげときたら最高だ。スポーツもし易い」
「アンタが良いと思うなら良いんじゃねえの」
「ああ」
「……霧野先輩」
「何だ、狩屋」
「霧野先輩が本当にしたかった話って、自分の髪型のことではなかったような気がするんですけど」
「う…ん…?…………ああ、神童……」
「何でここまで飛躍してしまったんですか」
「おさげの良さを語りたくて…」
「語れてねえよ。からっきし語れてねえよ」




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