こんなことになるなんて、予想していなかった。
一刻も早くユリの元へ着くように、私は急いだ。
「…ッ間に合ってくれ……!!」
ユリは、ひとりで戦っている筈だ……。
状況下としては、少々…いや多々、我々は不利な立場に立たされている。
そんな中、女性であるユリひとりに行かせただなんて……!!
どうして部下をつけなかった!!?
そればかりが悔やまれていた。
暫く……私は敵兵の伏せる戦場で、見覚えのある姿を見つけた。
「…っは……ユリ?…ッユリ!!」
それは、紛れもなく……ユリだった。
私は近寄って、地面に横たわっているユリを抱き起こした。
「ユリ……!!!」
忘れてない……。
まだ、生きている…。
「……じ、准将……」
ユリは、重たそうに瞼を開いた。
そして、私の顔を見て…申し訳なさそうに笑った。
「…ごめんなさい、准将。……っ腕、持ってかれました…っ」
その言葉に、初めて気づく。
ユリの右腕が、肩からなくなっていた。
痛々しい切り口で、未だ出血は止まっていない…。
それに、至る所傷だらけで、ボロボロだった。
「……ユリッ」
どくどくと未だ止まらぬ出血。
顔色も、悪い。
それでもユリは、へらり、と笑うと言った。
「…准、将。っ…もう、私…っ駄目ですね。……っ准将」
「……何だ」
「……好き、でした。…っ大好きでした、は…愛、してます。…離れたく、ない……っ死にたく、ない、でも…」
うっすらと涙を浮かべ、疲れきった瞳で、でも、ユリはしっかりと私を見た。
「カトルッ…待っ、てるよ」
「…ッ!!あぁ、ユリ…我も、お前を愛している。……離れたくない。……っ逝かないで、くれッ……」
私の最後の言葉を聞くや否や、ユリは瞼を閉じた。
こんなに想っていても尚…
あと何秒で、君を忘れられますか?君を忘れなければならない……。
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0120502 ねお
お題配布→確かに恋だった様
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