※パラレル



新幹線は極めて静かに走る。
ぼぅっと私は窓の外を眺めた。何も考えずに。
ふ、と窓の外が暗くなった。どうやらトンネルに入ったようで、なかなかに長いトンネルであるようだった。

「ぁ……」

小さな掠れた声が前から聞こえて、私はその人を見た。
白に近い金髪、整った顔立ち、同じ職場の上司であり、私の片思いの相手である。
寝起きの表情で、辺りを見回した後に額に手を当てた。

「どうしたんですか?」

「……夢を見た。だいぶ疲れていたのだな」

彼はそう言って乾いた笑いを浮かべた。顔色が良くない。

「顔色悪いですよ…?このまま取引先まで行って大丈夫ですか???」

「ん…あぁ、大した事はない。……だが、変な夢だった。もしかしたら、今までが夢だったのではないかと」

私は黙って彼の話を聞く。私も同じだ。
彼は言う。

「夢の中では、私は軍人だった。よくわからないところだったが、それは間違いなく私だったのだ。私の傍には必ずユリが居た。いつも笑顔だった。ー…しかし、最後に私は何か大きな過ちを犯して……よくわからないがお前が何か言ったんだ。
何て……言ったのだろうか」

彼はそう言うと黙り、窓の外を見た。
私は、優しく笑ってみせた。慣れないことはするべきじゃない。




「カトルさんが好きですよ」



彼は僅かに反応してみせたが、顔は外を向いていた。トンネルを抜けたようだった。

ガラスに映った彼の目と、目が合う。
彼は哀しそうに笑っていた。


「…だったら良いのだがな」

ぐずり、と理由もなく腕が痛んだ。




微熱を孕む


131121      ねお

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