※候補生



きらきら、と日の光が私と彼に降り注ぐ。
肝心の彼の顔は、ちっとも見えないけど、世界で一番愛おしい人。
柔らかい癖っ毛で、不器用で無愛想で可愛くないけど、たぶん顔は整っている。
いつだって、私に彼は、優しく微笑んでくれる。彼の照れた表情が好きだ。
ー…彼さえ居ればそれでいいの。



「ユリ、起きろ」
頭に、鈍い衝撃を受けて、夢から覚める。
きょろきょろ、と辺りを確認して、頭を殴った犯人を恨みがましく見てやった。
「いっ…たぁ……!もっと、優しく起こしてよ!!」
「起こしてやっただろ!?」
此処は教室で、きゃあきゃあ騒ぐクラスメイト達。
先程まで、夢を見ていたのだろうか?内容は思い出せないが、とても幸せだった気がする。
最近友達になったひとりである彼ー…クラサメは、ため息を吐くと私の隣に座った。

「隊長の話もまともに聞いてないユリが、最優秀候補生だなんてな」
「ふんっ…!逆に、隊長の指示も聞かずにここまで優秀で、0組じゃないのが不思議でしょ」
そこまで言って、はたと気づく。
「てか…!あんた、マントしてないしっ!!しかも、ここ…1組だよ!?あんた3組の筈でしょ……!!」
クラサメの、本来ならマントのある部分を指差して言う。
すると、クラサメは不思議そうな顔をした後、合点がいったようで笑い出した。

「マント…ユリに付けて貰おうと思って……」

「は!?え…じゃ、クラサメ…あんたっ!!」



「1組に編入になったんだ」

してやったり、と云う顔で笑うクラサメ。
それが、見覚えのない誰かの姿と重なった。



無自覚に追い求める姿

デジャブ……。

130715      ねお


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