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【恋のEZ do DANCE


 手はしとどに濡れていた。駅前のコンビニで買ったアイスコーヒーが玉の汗をだくだくと流すのである。この暑さの中で水滴はひんやりと冷たかったが、腕を伝って垂れてくる不愉快が勝った。腕時計が濡れ、そして袖にまで染み込み、やがて生乾きになり、気持ちが悪い。
「もうすぐ山頂のようだ。早いものだな」
 一方サウザーにアイスコーヒーを買ったやったと思っているらしいシュウは呑気にロープウエイの車窓を眺めている。
 早い早い、この程度なら歩いても悪くなかったやもしれんなあ。
 穏やかな声はただ感想を漏らしたに過ぎなかったろうが、直後、「いや、この涼しさには変えられまい」と慌てて言い直された。シュウは理由は分からずしも、サウザーがただならぬ雰囲気を醸していることだけは敏感に察していた。
 ──まあ、当たらずとも遠からず、だ。
 サウザーは氷が溶けて味の薄いコーヒーを啜った。
 時、夏。サウザーとシュウは湘南へ来ている。




 湘南へやって来たサウザーとシュウ様。しかしどうにもサウザーが平素の様子とは違う。暑い中連れ出したのが悪かったかしらと気を使うものの、焼け石に水か、いっそ増す増す……。
 夕方。ついにママよと暑い中連れ回して悪かったと謝ろうと口を開くシュウ様。と、その時サウザーがポツリと言う。
「今日は楽しかった。いつになく」


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