物凄い地鳴りがして目が醒めた。次の瞬間には目映い光に一瞬怯むが、ベッドから起き上がって薄いカーテンの生地を掴んで窓の外を覗く。するとまた辺りが明るくなり外の景色が一瞬ハッキリと見えてまた暗闇に戻る。そして窓を打ち付ける風と雨。こんな夜中に大嵐なんてやめてほしい。赤崎は舌打ちをしてからベッドへと引き返す。するとベッドヘッドで点滅する携帯に気が付いた。
 携帯が示す時刻は午前4時すぎ。電話やメールがくるような時間帯じゃない。寝てるときにきたのだろう。そう思って見ると着信が入っていた。時刻はほんの数分前。きっと自分が雷に気をとられているすきにだ。呼応時間はたった1秒。すぐに切ったらしい。間違いか悪戯か、そうだったら本人に夜が明けてからキレてやろうと思った。が、呼び出した人物が人物で、余計に目が覚めてしまった。
 残された履歴には椿大介の名前が表示されていた。間違えたのか。そんなわけはない。アイツのは二つ折りの携帯で寝惚けて電話出来るようになっていない。椿の部屋は2階の階段を降りてすぐ。俺は三階突き当たり。たいした距離じゃない。
 赤崎は携帯のライトを付け自分の部屋から早々に出ていく。突き当たりの簡易窓がミシリミシリと風に押されて悲鳴をあげていた。ここで木の枝なんかが当たれば簡単に割れてしまうだろうか。そんなことを一瞬考えて生暖かい空気が漂う廊下を歩く。誰も起きていないのかなんなのかヒッソリと静まり返っている。それもそうだ、今は午前4時すぎ。もしかしたら椿は当に寝付いている可能性だってある。それでも、椿は起きている気がして階段をかけ降りた。
 椿の部屋の前に立ち止まってディスプレイに触れてもう一度履歴を見詰める。そこにあるのはやはり椿大介の名前と呼応時間の1秒の数字。携帯をジャージのポケットにねじ込んでドアを叩く。

「つばき…」

 もう一度叩いて反応がなければ帰ろう。そう思った矢先にドアがカチャリと音を立てて開いた。ソロリと覗かせた顔が稲光で少しだけ照らされる。いつもの情けない顔がそこにあった。
 少しだけホッとして、ドアに手をかけて押し開け驚く椿の腰に腕を回し、そのままグイグイと部屋へと押し入った。

「…え」

 後ろ手にドアを閉めて椿を抱き締めたままドアに凭れる。椿は状況が分からずに小さく疑問を含んだ言葉を吐き出してまた黙った。椿の手元から滑り落ちたのだろう二つ折りの携帯は足元にあって、衝撃で開いたそのディスプレイに表示されていたのは紛れもなく自分の携帯番号で少しだけ笑った。

「起こし…ちゃいましたか?」
「いーや、雷とかで起きてた」

 抱き締めているからか椿が少しだけホッと息を吐いたのが分かった。

「ザキさんは…すごいッス」

 椿は赤崎の背に腕を回しギュッと抱きつく。赤崎は椿の背をポンポンと叩いてから、雷すげーなと笑った。


ワンコールヒーロー


(120403)
今日午前4時に雷で起こされました。そして私は相方にメールしました。(迷惑)で、いざ、寝るぞと思ったらなんかザキバキが頭を掠めて一気に書きました。
赤崎は椿のヘルプに敏感って話。前のアンケートで雷嫌いな椿ってあったし雷ネタは書きたかったのでよかった。実際はもっと騒ぐか全然大丈夫のどっちかだと思うんです椿は。私的に大丈夫かと。
今回のは別にそこまでガタガタするほど怖いんじゃなくて、雷が綺麗で外を見てたけどなんだか寂しくなって赤崎にワンコールしちゃったセンチメンタルな椿で。←?
雷鳴ワンコールとワンコールヒーローどっちか迷ってヒーローで。
ヒーローとか赤崎嘘だろ←

壱汰
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