(R)


「は?」
「だって、おかしいッス」

 気づいた時には俺の上に裸の椿が乗っかっていて、両腕はソファーのレザー生地に押し付けられてた。身の危険を感じると人間は、なにもできなくなる。
 ぷちりぷちりとシャツのボタンを外されて肌が外気に曝され鳥肌がたつ。そこで漸く、押し付けられた両腕が自由に動くことに気が付いた。気が付いたところでピクリとも動けなかった自分が情けない。
 椿は難しい顔をしてから俺の首筋に唇を落とす。少しかさついた唇がくすぐったい。あれほどリップを塗れと言ったのに。後で塗ってやろう。と、変に冷静に的外れな分析をした。と同時にヌルリとした感覚にぞわりと背が反った。洒落にならない。
 椿が口に含んだものは紛れもない俺の胸の突起。要するに乳首で、やわやわと歯で噛んでねっとりと舌で周りの乳輪ごと舐めて、挙げ句に吸いやがった。

「ここ…かんじまふか?」
「感じるかって…お前、」

 感じるか感じないかと聞かれればそれは微妙なところで、痛痒いという表現でいいのかなんなのか。とにかく、胸への愛撫どうこうよりも。視覚的にクルものがある。
 あのキスをするだけでムードもへったくれもなく焦る椿が、俺の上に跨がって一生懸命乳首に吸い付いてるなんて。考えられない。
 現に椿は素面で俺の上に跨がっているのに間違いはない。密着した下半身が椿の痴態を見て反応しないわけはなくて、下着とスラックスを押し上げる感覚が椿にも分かったのか一瞬動きを止めた。その次の行動は俺には予想できなかった。

「おっまえ…ちょっ」
「ザキさんは黙ってて下さいッス」

 頭にくる間もなく椿が俺のスラックスを下着ごとずりおろし、頭をもたげていた性器を口腔に招き入れた。
 ねっとりと椿の唾液が絡んで口腔で性器が扱かれる。上体を起こして椿の頭に手を置き引き剥がそうと押すが離れようとしない。ほとんどしないし、したとしても浅くしかくわえない椿が口腔一杯に含み、頭を揺らしている様に背筋がゾクリと戦慄く。椿の頭をもっと押し付けて喉の奥まで犯してやろうという考えが頭を掠めた瞬間に、椿が性器から口を離した。
 拍子抜けして少しだけ萎えた性器を椿が指先で弄る。

「あーもう…ヤメだヤメ……お前何がどーしたんだよ」
「だっ…て……俺だって男です!」

 性器を掴んだままそんなことを半泣きで言われなくてもこちらは既に承知の事実で、どうしてその事実がいま必要なのかさっぱり理解ができない。
 ギュッと手の力を強められて性器が握られて息が詰まる。お前ふざけるなと涙目で椿を見つめるとそのまま肩を押されてソファーへと身体が沈む。

「いつも…俺ばっかり…やられて悔しいッス」
「は」

 両腕を掴まれて噛みつかれるようなキスをされる。唇を食み歯列を舌でなぞられる。さっき俺の性器を口に含んでただろなんてことが脳を掠めたが、舌を椿の舌に絡ませる。

「はっ…」
「で、俺を掘ろうとしてんの?お前」

 唾液が互いの舌先を繋げて目元を赤くした椿が俺に跨がったままどこから出したのか、潤滑油を自分の手に溢す。その量が片手に溢れるほどで腹部に冷えた潤滑油が垂れた。
 椿は潤滑油のボトルを横にあるテーブルへと投げて俺の胸元に手を添え、孔に手を伸ばす。くちゅりという水音と椿の浅い息遣いが耳に響く。

「ザキ…さん……顔…真っ赤ッス」

 眉を下げながら情けなく笑った椿は俺の鼻先を甘噛みして腰を浮かせた。俺の性器は椿の痴態に既に硬直していて、椿の潤滑油で濡れた窪みの入口(排泄部なので出口が正しいのだろう)へとすんなりと突きたった。椿が触れるとピクリと反応して一回り大きくなる。それが嬉しかったのか何なのかふにゃりと笑って椿が腰を沈めた。

「ッ…あっ……」
「っ…かやろ…いきなり挿れん…な」

 椿の中は熱くて、何より痛い。椿の中に埋まったまま性器は萎えてしまった。俺がこれだけ痛いということは椿は更にキツいわけで。
 ぎゅうぎゅうと閉じられた椿の瞳からは涙がぼろぼろと溢れて俺の胸部に落ちて弾ける。

「ばか…いてーんだろ」
「っ…たく…ないッス」

 なぜここで意地をはるのか。慣れないことをしてろくにほぐしもしなかったからだ。

「少しだけ…我慢しろ馬鹿」
「?」

 きつく閉じていた瞼を開くと兎のように真っ赤になった椿の瞳と溢れ続ける涙。それに興奮してしまっている自分もいて、萎えていたものは少しずつ質量を増していた。腹筋を使って上体を起こして椿を抱き締めたまま床に足をつけソファーに凭れる。左手で背を擦り右手で結合部に手を這わす。

「ひうっ」
「……切れてはねーな」

 ギチギチに俺の性器を締め付ける窪みは切れてはいないが動かすどころか抜くのも無理そうだ。結合部を解すことを諦めて椿の萎えた性器へと手を伸ばす。
 ビクビクと腰が震えてぎゅうぎゅうと椿が抱き付いてくる。すぐそばにあった耳へと唇を寄せて大丈夫だと言葉を紡ぐ。

「っ…ああ…やっ…声が…」
「や、じゃねーって…出せって」

 椿の性器を早急に扱く。堪えられない声と椿の体液が絡まる水音が卑猥ではっきりいって興奮している。興奮で渇いた唇を舐めて湿らせる。
 喉をそらせて唇を噛む椿の胸部が目前にあって、立ち上がった乳首を口に含む。するとビクビクと痙攣し呆気なく俺の手のひらに吐精した。

「あっあっ…ひど…いッス」
「ほんと、よえーな」

 泣きじゃくる椿を無視してイッたばかりの性器を弄る。後ろの結合部の緊張も弛んだらしく少しずつ動かすと意外にも抽挿はスムーズでもっと激しく突きたい。が、なかなかそうもいかない体位で仕方なくまた椿の乳首へと唇を寄せる。

「あっやっ…それじゃ俺が気持ちいいッス…だめっ…だめだめ…」
「うっせー…」

 何がダメなのか、あろうことか俺の頭をべしべしと叩いてきた。ふざけんなと一睨みしようと椿を見上げると頬を両手で挟まれてキスされる。今日の椿はおかしいとは思いながらもキスに溺れる。

「っは……?!」

 頬に触れていた手がスルリと滑って肩に手を置かれる。何をするのかと唇を離して椿を見ようとしたが、また唇を塞がれて、次いで、性器への刺激。
 椿が腰を上下させ抽挿を繰り返す。椿が自分からこんなことをするのは初めてでカッと身体中が熱くなる。椿の顎を押さえて唇を離すと、抽挿に合わせて椿の唇から声が漏れる。
 その声に表情に頭が沸騰する。椿の腰を掴んで押し付けるのと下から突き上げる速度を速める。

「ひっあっあっ…もっ…あたま…おか…ひっ」
「ははっ…えっろい…顔」

 喘ぎっぱなしのせいで開かれた口からは涎が垂れていて、艶めく唇に噛み付いてキスの合間に名前と好きだと呟くと、腰を震わせて俺の腹に精液を飛ばした。結合部がきゅうきゅうと締まり抜く暇もなく、椿の肉壁へと吐き出した。

「は…あ……ザキ…しゃ…ん」

 呂律の廻っていない椿の後頭部を椿の精液でドロドロの手で撫でる。馬鹿なことした罰だ。

「俺を襲おうなんて考えてんじゃねーよばーか」
「ばっ…ばかばか言わないで下さいッス」
「ばーかばーか」
「っ…ひど…ひどい…」
「おら、ばかこっち向け」
「いやッス…」

 キスしてやるよと笑っていうとガシリと両頬を挟まれて強引なキスをされた。可笑しくてキスしながら笑ってやった。


三月ウサギと四月馬鹿


(120430)
エイプリルフールに書いてたんですが中途半端だったので出せず。
バキザキサイトになりましたみたいなアホなこと考えてましたけどまあ無理でしたよね。
ただのエロです。ただのエロ。
三月ウサギってのは発情期のウサギでして。不思議の国のアリスにもでる頭狂ったウサギは発情期だからなんです。というよくわからないただのエロ←

壱汰
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