※堺さんの奥さん捏造設定。奥さんは亡くなってます。大丈夫な方はどうぞ。本当すみません!





「堺…さん」
 隣に眠る人物を見つめる。寝ているときは眉間の皺がのびていて年齢よりもずっと若く見える。眉間の皺があったとしても歳だとは思わないけれど。椿はそんなことを考えながら堺の少しだけ痛んだ金色の髪の先に触れる。ふわふわと手に馴染むそれに笑みがこぼれる。次いで、キラリと左指に光るものに笑みは消えてしまう。

「ごめんなさい、」
 どうしようもなく貴方が好きなんです。
 その言葉は簡単に伝えられるものではなくて触れていた右手で口を押さえつけ、とどめる。
 こんな感情を持つこともこんな関係を続けることもいけないのだと分かっているのに、やめられない。
 椿は水を飲もうと掛け布団を左手でずらす。すると左の指がキラリと光った気がした。

「…へ」

 椿は暗闇のためよく見えず顔を近づける。左の薬指にはまっていたのは紛れもなく指輪で、椿は混乱しながら隣の堺を見た。すると肘をついてニヤリとこちらを見つめる堺に椿はゴクリと唾を飲み込んだ。その音がやけに響いて堺は笑った。

「は、なんだと思ったんだよ…それに…気付くのおせーし」
「や、え…」

 なかなか言葉にならず気持ちだけ焦って椿は涙目になる。それをやれやれと苦笑しながら堺はベッドに座り込み椿の黒髪を鋤く。頬に触れると猫のようにすりつく様が可愛いと堺はまた笑った。今日の堺はよく笑うなとボンヤリと考えていた椿に堺は口づける。一瞬だけの口付けに椿はなにがなんだか分からないと堺を見つめた。

「待たせたな、」

 口付けのあとは絶対に恥ずかしがって目を合わせない堺の目が今は椿を真っ直ぐに見つめている。

「でもっ…」
「よく見てみろ、違うだろ…」

 堺は椿の顔に左手を翳す。暗闇に目がなれた椿の瞳にシルバーのリングが鈍く輝いた。

「銀色…?」

 お前と一緒だよ。堺は椿の左手を包み込みリングを指先で撫でた。椿の瞳にじわりじわりと涙が溜まって溢れた。

「もうひとつはしっかり飾ってある…あいつもゆっくり休ませとこうと思う」

 時々は連れ出せるようにチェーンは着けたんだぜと堺は椿の涙を指先で拭いながら寝台の写真の前にあるリングケースを指差した。そこにはゴールドのペアリングがキラキラと輝いていて、椿はぼろぼろと涙を溢した。暫くは止まらない。椿はしゃっくりを上げながら堺に言葉を紡ぐ。

「でも…でも…俺なんかで許してもらえるでしょうか…」
「…俺が選んだんだ…許してくれるさ」

 今度一緒に墓参りに行こうなと切なげに笑った堺に椿は声を上げて泣きはじめた。そんな椿を堺は抱きしめゆるく背をなぜた。

「俺っ…代わりでも何でも良いです。堺さんと…いられるなら…」
「…ばーか、お前はお前だよ」
 そう言って堺も椿同様鼻をズズッとすすり、椿を強く抱きしめた。



さあ、誓いの口づけを



(110909)
堺さんの日だ!そういえばサクバキの日過ぎた!と思い書いてしまった。なんだこれは。すみません本当に捏造でしかも奥さんを亡くしてしまいました。もう土下座としか…
いろいろ設定があるんですけども、とりあえず椿は25、6とかその辺で。堺さんの奥さんは堺さんが31、2で亡くなってしまって、そんな情緒不安定な堺さんを傍らで支えようとする椿と付き合ってるようなそうじゃない関係をズルズルと…
で、今回5、6年たって漸くみたいなそんな…感じですが
とりあえず奥さんを忘れた訳でもなければ椿とどうこうなろうとか堺さんは全く無かったんですが。椿が堺さん好きで好きで…という過去が。最初は堺←←←←椿みたいな。だから今回の椿も卑屈とかそういう。
もう…なにがなんだかごめんなさい(´・ω・`)
とりあえずサクバキが書きたいと思ったらこんなことに…
堺さんの奥さんの話がタブーだった方本当にすみません!

壱汰

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