(第一期ノマ鹿ノマ鳴)
ジリジリと照りつける太陽すらめんどくさくて、こんな日には外に出る意味すらわからないのに、今現時点で俺は太陽の格好の餌食となっている。くそめんどくせぇ。
言葉にするのも億劫で買い物袋を手首にかけジトリと汗ばむポケットに手を突っ込み、逆の手を額にかざし少しでも影をつくる。暫く歩いてそれすらもダルくなってきて、かざしていた手も汗ごとポケットに突っ込んだ。
そんな中、何の気なしに見やった空き地。その先のベンチにポツンと座る金色を見つけた。暑いのに、ダルいのに、足は勝手にそちらに向かっていて内心で苦笑した。
金色は気が付かないのか持っているラムネを太陽にかざしては繁々と見ていた。
「なんかいーもんでも見えんのか?」
「…シカマル…」
隣に座った俺をラムネのビン越しに見て、金色を揺らしながらナルトはニコリと控えめに微笑んだ。ビンの端から覗く目元が真っ赤だった。
「キラキラしてて綺麗だってばよ、シカマルも見てみろって」
ナルトが目線までビンを持ってきてカラリと振った。炭酸が弾けてシュワリと音がして、太陽の光がビンを透かして、キラキラと輝いた。
宇宙みたいだってばね。と、ラムネのビンを再度振ってみせたナルトからビンを奪いラムネを喉に流した。温くて甘ったるいそれを眉をひそめながらも飲み下しズイッとナルトに返した。
「こんなあちぃとこに1人で居んなよな、宇宙どころかあの世が見えちまうよ」
ナルトが受け取ったのを確認して、ビンを持った逆の手を握って歩き出す。2人分の汗で手が滑りそうだ。でも絶対に離してなんかやりたなくて更にギュッと握り締めてやった。
「シカマル…」
「俺の部屋行って…アイスでも食うぞ」
そう呟いたらナルトが後ろ手に頷いたのか、ビー玉がカラリと鳴った。
炭酸水の宇宙に溺れる
(100813)
第一期ノマ鹿ノマ鳴をイメージ。まだ村人に陰口をたたかれるナルトで一人でちょっぴり泣いてラムネ飲んでボーッとしてた時に母ちゃんに買い出し頼まれたシカマル登場という、なんとも分かりにくい話。引っ付いては無いです。間接キスはしたね、うん。←
壱