「ただの…買い物ッスよ、大介先輩。いるもんあるなら買ってきますよ?」

 俺のそんな言葉を聞いてか聞かずか、彼は此方に手を出してきた。

「?」
「んっ……それ…、」

 指差したのは俺が持っているもの。赤色ベースのところどころ星とかが散りばめられた所謂可愛らしい派手なヘルメット。片隅には25の数字。俺の番号だけど大介先輩専用のヘルメットだったりする。絶対似合うと思ったから俺がデザインして作ってもらったんだけど、最初は駄々こねまくって大変だった。女の子みたいだとか派手だとか。今となっちゃ、凄いお気に入りになってるみたいだけど。

「本当にいくんすか?さっきまで暑いって言ってたじゃないスか」
「行くってば、」

 大介先輩は俺の手元からヘルメットを取って被った。それからまだ停めてあったバイクの後ろにチョコンと座り込む。その行程があまりにも可愛いくて、可愛いなんて言いそうになったのを自分もヘルメットを被ることで誤魔化した。黒色ベースの同じデザイン。片隅には7の数字。大介先輩のを作ってから自分も作って貰った。お気に入りだった龍と虎の派手なやつは大介先輩が嫌がるから寮の自分の部屋に飾ってたりする。

「大介先輩は、横着して俺の腰持たないから嫌ッス…落ちたらあぶねー」

 それだけじゃない、折角のバイクなんだからさ。相手との距離が近付くチャンスっ。とかなのに、つれないなあ本当に。
 そんなことを考えながら車道までバイクを押す。先輩の重みでなかなか押しにくい。

「それに…っぶっ!?」

 車道の手前、寮の玄関前まで来てもうひとつ文句でも言ってやろうと後ろを向くと唇に何かが触れた。言うまでもなく、それは先輩の唇で暫く呆けた。

「……寮戻って続きします?」
「……なんの続きだよ…早く行って…よ、ばか」

 きっと嫌だって言ったことが結構キテるんだろう。はいはい了解しました残念ですと、バイクに跨がってエンジンをふかして発進。暫くはいつもみたいにグデーと背を反らして横着に乗っていたんだろうけど、腕が腹部に回されて、可笑しくて笑ってしまった。

「なんで笑うの、」
「や、可愛いなって」
「っ…」
「だーっ!いたいっいたいっス」

 地味な攻撃。無い腹の肉(皮?)を無理矢理引っ張るもんだから痛い。

「上田…生意気だよ」
「はは、大介先輩、大好きッス」

 いきなり何を言い出すかとと言う具合にビクリと反応した身体を諸に感じながら、信号で停車したのを見計らって腹に回された腕を撫でる。ビクビクと反応して離れようとした手を掴んで指先にチュッと唇を寄せて離した。

「おっと…青あおー…大介先輩、飛ばしますよっ」
「うっひゃっ……うっ、上田あっ」

 落っこちそうになったのか必死にしがみついてきた大介先輩にけらけらと笑うとまたさっきと同じように地味な攻撃を繰り返された。まあ、大介先輩が横着しないなら良しとしよう。



0距離走


(110625)
バイクの二人乗りを見て、後ろの乗り方が可愛くて。ぎゅうっじゃなくて、座るとこに手をかけてのんびり乗ってて。
で、バイクに乗せたい。しかし誰がバイクかと考えた結果、堺さんだったのが上田になりました\(^^)/
一気に書き上げた残念クオリティ。しかもウエバキなんて需要がwww
上田にはツンデレっぽい椿でした。一応先輩だから頑張ってなめられないようにしようとか考えつつもなめられてるというか愛されてる椿で。
お粗末様でしたー

壱汰

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