人生最大の一大決心じゃないかと思うんですけど。

「は」

 世良は肘をついたまま、テーブル一つ介して座る椿にそんな声をあげることしかできなかった。人生最大の一大決心の意味がわからない。言い切ったは良いものの既に後悔を始めたのか、無駄に顔を赤にしたり青にしたりと椿は落ち着かない様子でそわそわしだした。隣のテーブルに運ばれてきたコーヒーを置く音にすらビクビクし始めた椿を見て、世良は肩をすくめた。

「お前さ、赤崎のこと本当に好きなの」
「え」

 椿はショックを受けたような顔をして、さっきの話のどこを聞いたらザキさんを嫌いなんて話になるんですかと些か半泣きで喚いてきた。そんなこと言っても、さっきの話を聞く限りでは無理矢理赤崎と付き合わされてるんじゃないかとまで推測できる。世良はストローをくわえてから椿を指差しニヤリと笑った。

「なっ、無理矢理なんてそんな…世良さん酷いですっ。俺は、ザキさんに…チョコ渡すか渡さないかの決心をしただけで」

 尻窄みにゴニョゴニョ言う椿の頭をペシリと伝票で叩く。それにまた小さく世良さん酷いと椿は顔をうつむけた。

「付き合ってんじゃんお前ら。ならあげるだろ。」
「ええっ、でも男です俺っ」

 俯いていた顔をパッとあげて、ザキさんにあげても迷惑じゃないかと思ったんです。とか言い始めた椿にいよいよ呆れるしか無くてもう一度伝票で叩いた。

「いっ…」
「あんさあ、好きなんだろ?赤崎のこと」

 眼鏡越しに見た椿の瞳が揺れていた。暫くあーだとかうーだとか唸った後に、コクりと首を縦に振り小さく、好き。と呟いた。俺はというと、椿の仕草に小動物の様な可愛さを垣間見て不覚にもキュンなんてしてしまった。

「好きならあげたいとか思わねーの?」
「っ…でも、」

 赤崎は椿に貰えるなら無い目開いて泣きそうなのになとか考えて、少し笑ってしまった。

「自信もてよ、バカ」
「……せらさん」

 先輩が言うことが信じられないのかよ。と、口を尖らせながら言うと椿は焦った様に両手を顔の前でブンブンと振る。次いで椿はこんなこと世良さんにしか話せませんと、眉を下げながらフニャッと笑った。それが可愛くてなぜだか照れてしまった。鼻の頭をかいて、しょうがねーから面倒みてやるよと伝票で三度目の鉄斎を食らわせて笑ってやった。


人生最大の愛を貴方に


(110414)
今更ながらにあげてみるバレンタイン。今日は14日だしっ。←
本当は書いてたんですが気にくわなくて。だからログにコソリとあげようと思いましたがログの型式を変えるんでこっちに一先ずは。ちょこっと続き物にしようかなとか考えてましたが。いま更すぎて(´ω`)ホワイトデーとかに繋がったり…うん。
世良だて眼鏡もえ←
それが書きたかったんだ。
サクセラサクもいれようかと思いましたがたぶんノンケ世良。

壱汰

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