宮野と一緒に買い物ついでに立ち寄った本屋で椿はちょっとした迷子になっていた。フラりといつのまにか何処かに行ってしまった宮野を広い店内をキョロキョロしながら探す。
 大きな本屋に寄りたいと宮野が言い自分が雑誌に気をとられているうちに消えてしまった。暫くふらふらとしていたが見覚えのある坊主頭が見えて椿はホッと胸を撫で下ろした。横から顔を見上げると至極真剣な横顔で少しドキリとした。それもすぐに気がついて、ふにゃりと此方に笑いかけた宮野に椿は、どこいったのかと思った。と少しだけ拗ねるような口調で呟く。それに宮野はごめんと言ってからちょっとね。と、また本に向き合った。
 椿は少しかがみ表紙を覗き込む。

「星……」
「ん、」

 星の名前と書かれた表紙を、一面に覆う無数の星。椿は表紙と宮野を交互に見る。すると少しだけ赤くなった宮野は本を閉じ椿を見て、似合わないとか思ってんだろ。と拗ねたように言った。それに椿は首を横に激しく振ることで否定する。

「ちがっ…なんていうか、驚いただけ」
「なにそれ、」

 宮野は少しだけ困ったような顔をし笑った。出ようと宮野が言い椿は後ろ髪をあの星の本にひかれながらも宮野について店を後にした。

「みやっ…」
「椿…俺ね、星…好きなんだ、宇宙とかさ」

 人通りの少ない寮への帰り道で宮野はいきなり立ち止まり、少し後ろにいた椿を振り返りそう言った。椿はというと宮野にぶつかる手前で止まった。

「でもさ、やっぱ周りがさ明るいと見えにくいでしょ」

 星。と、宮野は上空を指差し言う。椿はそれにつられるように夜空を見上げる。たしかに、満天の星空とは言い難い。

「でもこの上には確実に星があるんだよな、見えないだけで。だからさ、時々忘れないように、ああやって、本見てんの」

 そう言って照れ臭そうに鼻をかいてまた前を向いて歩き始めた宮野の後ろ姿を暫く見ていたが、すぐに宮野の隣に駆け寄った。

「俺のね、実家…いっぱい星見えたんだ、でも最近本当に見てない」

 椿が言い終わる前に宮野は椿の片手を取り指を絡める。それに椿も答え、きゅっと力を込める。

「じゃあ、今度一緒に見る?」
「本?」

 椿の手を握る手に力を込め、両方でしょう。と、笑った。


プラネットボーイ


(110124)
宮野君はきっと星好きなんじゃないかなとか捏造。
ちゃんとしたミヤバキは初!好きだミヤバキ!

壱汰

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