(赤崎弟捏造)



 椿は温かいベッドからそろりと起き上がり、さっきまで寄り添うように寝ていた人物の寝顔を傍目で見て、幸せそうにふにゃりと微笑んだ。その後にいそいそと着替えをし、二人分の脱ぎ散らかした服を拾い上げ寝室を後にした。
 慣れたように洗濯機に分けながら入れ一回目の洗濯を開始する。顔を洗ってからキッチンに行くためにリビングを通るとテレビの音が盛れているのに気がつき、椿はリビングを見直した。

「…あれ、」

 さっきまでベッドで寝ていた彼はいつのまにか、お気に入りのシックな黒いソファーに寝そべりテレビを見ていた。

「ザキさん…もう起きたんですか?」

 まだご飯出来てないですよと言ってから、ハタとおかしなことに気づいた。些か縮んだ様に見えるのだ。しかもソファーの横には見たことの無いスクールカバン。髪も真っ黒。
 振り向いた顔は確かに彼に似ているものの幼い気もする。椿がいよいよ首を傾げたのを見てその謎の人物は椿を上から下まで見つめ、漸く声を出した。

「へぇ、女じゃないんだ」
「へっ…?」

 ニヤリと笑った顔はあの赤崎に瓜二つだった。声も些か高いぐらいだと思う。でも根本的に何かが違うのだ。それを上手く処理しきれない椿は混乱したように疑問符を頭に掲げるばかりだ。それを知ってか知らずか、小さな赤崎(仮)はソファーから跳ね起きジリジリと間合いを詰める。椿は後退りをするしかなかったが小さなテーブルに踵をぶつけてそのままテーブルの上に尻餅をついてしまうという失態を披露した。

「はは、何してんスか」
「っっ…誰です、か」

 優しく笑った時の赤崎と被りクラリと目眩がしつつも椿は質問した。

「あれ、分かんないんスか、赤崎っスよ」

 というか誰とかより先に不法侵入とかあったでしょ。と、笑いながら言われて椿はなにも言うことができなかった。値踏みするかのように顔を見られて、可愛い顔はしてるけどどうみても男。と、小さな赤崎は呟いた。見れば見るほど幼い赤崎に見えて椿は目をそらすことしか出来なかった。

「へー、兄貴、男いけたんだ」
「へ、」

 いきなり出た兄貴と言う科白にいよいよ頭がまわらなくなってきた椿は口をポカンと開けたまま目の前の小さな赤崎を見つめた。

「にしても、タイプも変わったなぁ」

 どっちかっていうと、俺のタイプかな。と赤崎が二人きりになってから時々見せる柔らかい笑い方をしたのを見て、やはり赤崎の親族であると漸く信じることとなった。顔を見た時点でそう思うべきであったが。

「ザキさんの弟さん…」
「お、信じたんスか」
「え、違うんスか?」

 違うことは無いっスけど、あんた面白いですね。ぽやぽやしてて天然?と笑いながら言われて、赤崎はあまり笑顔を見せないがこちらの赤崎は笑ってばっかりだと不思議なものでも見るように見つめていた。

「なんていうか、いいっスねあんた…」
「は、」

 赤崎の弟はグッと椿を引き寄せて耳元で囁く。

「俺ね、昨日…夜中に来たんだ」
「っっ!?」

 バッと離れて合鍵であろう鍵をくるくると回す青年に椿は真っ赤な顔と若干の涙目をさらすこととなった。

「龍っ」
「ひえっ」

 いきなりかけられた声に呼ばれたわけではない椿が奇声と共に肩を震わせた。

「ああ、兄ちゃんおはよう」
「なんでここに、…つばき?」

 弟を目の前にして机の上に尻餅をついている椿を不思議に思い、赤崎は直ぐ様椿を引っ張り起こし、自分の後ろにまわした。一部始終を見ていた赤崎の弟、龍はニンマリと笑みを浮かべて見ていた。

「なんでここいんの」
「んー家出がてらに兄ちゃんの顔でも見ようと思って夜に来てた」

 赤崎は夜という単語に些か反応したが素知らぬ顔で、どうやって入った。と、聞いた。

「合鍵つくっといたの。兄ちゃん実家に帰ってきてた時」

 それ犯罪だから返せと手を出した赤崎に弟は笑って首を横に振った。それにあまり反論せずに赤崎はため息をついた。

「俺ら、今日昼過ぎから練習だから相手できねーし、適当に家に戻れよ」
「えー、せっかくきたのに。そっちの人…えっとたしか椿大介選手?七番の。大介さんは帰ってくる?」

 自分の名前を呼ばれ椿はギシリと緊張したかのように直立不動を保っている。それを見て何が可笑しいのか龍はけらけらと笑った。

「こいつは寮戻るよ、」
「えー帰ってこないの?」

 見かねた赤崎がそう言うと龍は不満気な声をあげソファーに座り込んだ。

「今日鍋作っとくからさ帰ってきてよ、大介さん」
「っ」

 赤崎の後ろで直立不動からわたわたと挙動不審になりはじめた椿に声をかける。

「龍、」
「いーじゃん、兄ちゃん暫く泊めてよ、ほとんど授業ないし、さ。俺何にも見てないし聞いてないから」

 その言葉に二人(主に椿)は赤くなるやら青くなるやらで微妙な顔をした。

「つーか二人でシェアしてんでしょ」

 独り暮らしにしては広いし、掃除嫌いな兄ちゃんの部屋がこんなに片付いてるわけないじゃん、と龍は部屋を見ながらそう言った。

「まだ、住んでねーよ」
「まだ、ねぇ。」

 しまったと思った時にはもう遅く、龍は再びニンマリと笑みを浮かべて赤崎と椿に向かって、母さん達には言わないから泊まらせてねと言い放った。

「あと、俺帰るまで大介さんも連れてきてよね、兄ちゃんとだけじゃ楽しくないし」

 言うだけ言って風呂に入ってくると風呂場に向かった龍の後ろ姿を暫く見ていた二人だったが、いきなり赤崎が椿の方に向き椿をジッと見つめる。

「ザキさん…」
「…一番嫌な奴に色々バレた」

 赤崎は椿をゆるく抱きしめてから盛大にため息をついた。

「…とりあえず、朝御飯食べましょうか」
「……結構暢気だな」

 そうでもないです。と椿は言ってから、今日も泊まっていいですかと赤崎の肩口に額をぐりぐりとつけながら呟いた。気になる?と聞いてきた赤崎の言葉に暫く考えてから頷く。

「ザキさんの弟さんですもん、気になりますよ」

 ザキさんのこと知らないことばっかだなって思ってちょっと寂しいです。そう言い椿は赤崎の背に腕をまわした。

「…知りたいんだ、意外」
「なっなんでっスか?」
「いや、聞いてこねーから」

 興味ないのかと思った。と、赤崎は椿の旋毛に唇を落として言った。それに恥ずかしいのか勢いよく顔を上げた椿を寸でのところで避ける。

「っ…興味…無いわけ無いじゃないですか、ザキさんは意地悪です」

 今のも反則ですと椿は俯く。赤崎は耳まで赤くした椿に笑って抱き締める力を強めた。

「俺も聞くからお前も聞けよ色々」
「う……はい、聞いていいんですか」

 当たり前だと笑い赤崎は椿の額にキスしようと髪をすいたが、椿は赤崎からふらりと離れた。

「今の笑った顔似てましたやっぱり兄弟ですね。…あと……ダメです、暫くは。」

 そう言って椿は気恥ずかしそうに笑って台所へ行ってしまった。赤崎は頭をかいて、やはり弟を今日中に帰らせようと圧力をかけるために風呂場に直行した。



流れる血は同じもの
(恋もまた然り、)




(110204)
すっごい捏造。
赤崎には弟とお姉さんいるかもしくは一人っ子。
で、今回は三人兄弟な赤崎の話。弟しかでてないけど。捏造し過ぎてなんかすみません状態です。
これこそ需要ない上に苦情あったらどうしよう\(^^)/←
弟くんは一応、赤崎が遼だから龍とか。
高2、3設定
因みにサッカーはやめたとかそういう。兄ちゃんがプロだからやる気なくなったとか。興味ないならないでいいなと。でもチラッと見た兄ちゃんの試合で椿を見つけちゃうとか…
とりあえず椿のこと好き(?)で兄ちゃん家に行ったらアーッ\(^^)/なことしてたのに夜中ショック受けてたらいい。
いや、尊敬というか若いのに凄いとかそういうさ。
いらない補足でした(*´∇`*)

壱汰

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -